もうあと一歩とは言わせない 「俺のプロレス」を楽しむ大器が頂点を目指す

「俺のプロレス」で鬼門を突破する。DDTの大器・樋口和貞が「KING OF DDT トーナメント」準決勝&決勝(7月4日、東京・後楽園ホール)に向けて不退転の決意を固めた。

「ブレーンクローで締め上げ勝つ」と自信を示す樋口和貞【写真:柴田惣一】
「ブレーンクローで締め上げ勝つ」と自信を示す樋口和貞【写真:柴田惣一】

大相撲出身 恵まれた体格誇る

「俺のプロレス」で鬼門を突破する。DDTの大器・樋口和貞が「KING OF DDT トーナメント」準決勝&決勝(7月4日、東京・後楽園ホール)に向けて不退転の決意を固めた。

 KODトーナメントではベスト4に、これまでも勝ち残ってきた。ところが、準決勝の壁をどうしても突破できない。今回も相手は火野裕士。日本マット界有数のパワーファイターであり難敵そのもの。「巨大な壁」と樋口はため息交じりに認めている。

 とはいえ、もはや待ったなし。周囲の期待が高まっている。「そろそろ樋口の時代」との声をアチコチから聞くようになって久しい。

「分かっている。自分でもなぜあと一つ、壁を破れない?」と考えてきた。坂口道場に通ったり、練習方法を工夫したり、新たな挑戦を試みてきた。さまざまなDVD、配信などで、古くから最新まで古今東西のプロレスをチェックしている。コンディションにも練習量にも自信がある。

 色々と試し、考えた結果は「俺のプロレスでいく」だった。ブレずに自身のファイトで勝負するのみ。「天下を取った人たちは、自分のプロレスを楽しんでいる。俺も俺のプロレスを楽しんで勝つ」。すなわち、すべてを出し切り、全力で立ち向かい、逃げないという樋口らしいファイトしかない。

 元より樋口が憧れたのは石川修司。それもユニオンプロレスそしてフリーランス時代にKO-D無差別級王座に君臨していた石川だという。「KO-D王者の石川さんに挑戦した試合、あれが俺の原点」と振り返る。他にもHARASHIMA、坂口征夫、入江茂弘と、真っ向勝負を得意とする選手たちの名前を挙げた。

 小細工して勝利しても、自分が納得できなければ仕方のないこと。とにかく「俺の道」にこだわっていくのが樋口なのだ。

 自信もある。DDTのあらゆるスタイルを経験してきた。路上やキャンプ場などで闘い、あらゆるスタイルに対応できる。危ないことにもちゅうちょしない度胸も鍛えてきた。

 コロナビールを手刀で割った。見事に上部が吹っ飛んだが、手を切ってしまった(※絶対にまねをしないでください)。サソリの干物など虫食いを楽しんだ。「味はあまりしなかったけど、おいしいかと言われれば、おいしかった」…意外なエピソードが次々と飛び出してきた。

 やるときにはやる男なのだ。火野を蹴散らしたら、竹下幸之介VS佐々木大輔の勝者と決勝戦を争うことになる。「まずは、準決勝の突破」と繰り返すが、優勝すれば8・21神奈川・富士通スタジアム川崎大会で、KO-D王座に挑戦できるはず。

 いまだ手にできないベルトへの想いは隠そうとしない。3・28後楽園ホール大会で、王者・秋山準に挑戦したが失敗。しかも、秋山の腰にベルトを巻かされている。「あの屈辱は忘れられない。ベルト挑戦待ちの順番では後ろになってしまったけど、トーナメントで勝てば、一気に先頭に立てる。そのためにも勝ちたい」と珍しく語気を強めた。

 実はKO-D無差別級タイトルマッチでは5連敗。「6回目の正直になる」と頭をかくが、それだけチャンスをつかめるのは、常にトップ戦線に食い込んでいるからこそ。「KUDOさんは8回目の挑戦で王者になった。俺はまだまだ」と鼻息が荒くなってきた。

 大相撲出身者らしからぬ長い手足を誇り、ポテンシャルも高い。樋口が「大器晩成」という言葉にサヨナラを告げる日が迫っている。

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