【週末は女子プロレス ♯3】里村明衣子、WWEに主戦場移す“真意”明かす「ホントにいま新人になった気持ち」

大田区大会で里村明衣子の胸に去来したのは…【写真:新井宏】
大田区大会で里村明衣子の胸に去来したのは…【写真:新井宏】

WWEコーチ業で実感「練習メニューは日本と全然違う」

 しかしながら、その後も二転三転。今年4月の開催も延期となり、里村はこの1試合ために“来日”しながらもすぐにイギリスへ戻らざるを得なかった。そして6月13日、ようやく開催にこぎ着けたのである。そして7月より、再びイギリスでの活動に集中する。今回の来日にあたっては、6月11日配信のNXT UKで、里村はケイ・リー・レイを破り日本人初にして第4代NXT UK女子王者に就いていた。歴代王者はリア・リプリー、トニー・ストーム、K・L・レイ。里村は3月4日に初挑戦、5月13日に5人参加のガントレットマッチを勝ち抜き挑戦権を得ていたのだが、王者や挑戦者たちは、イギリスのWWEパフォーマンスセンターで育ったスーパースター。WWEでの里村、その立場はコーチ兼任である。

「コーチとしては私は新人なので、(現地の)コーチの下について勉強中です。コーチ業を学びたい思いがすごくあって、ホントにいま新人になった気持ちですね。日本のプロレスをリスペクトしてくれる選手ばかりなので、日本式の練習もやってくださいとは言われるんですけど、毎日やったらたぶんついてこれないと思います。逆に、イギリスの練習も日本人がやったらついてこれないなというのもありますし。プロレスはすでにボーダーレスですが、そもそも日本人とイギリス人(外国人)の体型が違いますし、練習メニューは日本とは全然違いますね」

 双方のいいところを取って練習方法を考えている里村。これはもちろんWWEのためでもあるし、自身のためでもある。そして将来は、これからの経験を日本に持ち帰りたいと考えている。

「いまはWWEでコーチ(専任で)やってる人もいると思うんですけど、コーチを仕事にできる日本人ってまだいないと思うんですよ。今後、ちゃんとしたコーチがいない限りスターは育成できないなというのを感じているんですね。この立場をいずれは日本に還元して、そういうシステムを作りたいという気持ちがあります」

 これを聞いて思い出したのが、大田区でのバックステージだ。里村は永島千佳世&植松寿絵との一期生トリオで長与&KAORU&広田さくらと対戦、GAEAへの思い出に浸るような懐かしさいっぱいのリングだった。が、試合後の里村は笑顔から一転、目に涙を浮かべるどころかほぼ号泣に近かったのだ。

「こんなに素晴らしい世界が(GAEA解散もあり)低迷してしまった。それを絶対に立て直す。女子プロ界を最強の世界にしたい。それが実現するまで絶対にあきらめません!」

 その思いは日本にとどまらない。世界をターゲットに日本の女子プロを知らしめ、成果を母国に還元することが彼女の目標なのだ。そして6月27日、仙女の新潟市民体育館「女子プロレスBIG SHOW in新潟」で、里村は区切りの試合を行う。メインカードは里村&鈴木みのるVS高橋奈七永&新崎人生の男女混合タッグマッチ。里村にとって新潟市体育館は、14歳のときに初めてプロレス(新日本)を見た思い出の場所。このときは女子プロの存在を知らず、自分が世界初の女性によるプロレスを作るんだと息巻いていた。が、その後に北斗晶VS神取忍の試合を知り「こんなにすごい女性が世の中にいるんだ!」と衝撃を受け、新団体GAEAの門をたたいたという。だからこそ、6・27新潟は里村の集大成。7月1日、里村は日本を離れ、新たなる決意でイギリスに戦場を移す。

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