グレート・ムタの次なるマジックは? コロナ禍の無観客試合だからこそ膨らむ期待
96年新崎“白使”人生戦でもムタの神髄は発揮
96年4月29日、東京ドーム大会の新崎“白使”人生戦でもムタの神髄は発揮された。
上半身に経文を書き込んだ人生に、ブラック・ムタは毒霧を浴びせ、流血に追い込んだ。ムーンサルト・プレスで3カウントを奪うと、人生が持ち込んでいた卒塔婆に、人生の血で「死」と書き込み、人生の体の上に置いた。そして合掌ポーズ。何とも衝撃的なシーンだった。黒VS白、魔界の住人VS闘う僧侶……勝負に加えてキャラクター対決でもムタは勝利を挙げる。
大仁田厚が変身したグレート・ニタとの魔界大戦「ノーロープ有刺鉄線バリケードマット時限装置付き電流倍増ダブルヘルマッチ」(99年8月28日、神宮球場)でも、ムタは初体験の爆破を突破し、ニタをマットに沈めている。
武藤は紛れもなく「プロレスの天才」だが、ムタは「プロレスの超天才」なのは間違いない。武藤もムタも「持っている。そして、持っていく」。運やオーラ、華を持っており、終わってみれば、勝敗に関係なく、おいしいところを持っていく。武藤はナチュラルボーンマスターと呼ばれていた時期もあったが、まさに「生まれながらの天才」だった。
6・27配信マッチは無観客のスタジオマッチ。「観客不在の会場で、何をしてやろうか」と、今頃ムタは手ぐすねを引いているはず。無論、拳王も黙ってはいまい。「2021年版ムタ」マジックが楽しみで仕方ない。