幕末を描く「青天を衝け」が分かりやすい理由とは 制作統括が明かす3つのポイント
俳優の吉沢亮が主演を務めるNHKの大河ドラマ「青天を衝け」(毎週日曜、午後8時ほか)では、主人公・渋沢篤太夫(栄一)がいよいよ本格的に商才を発揮し始めるようだ。
NHK「青天を衝け」20日放送の第19回の見どころを紹介
俳優の吉沢亮が主演を務めるNHKの大河ドラマ「青天を衝け」(毎週日曜、午後8時ほか)では、主人公・渋沢篤太夫(栄一)がいよいよ本格的に商才を発揮し始めるようだ。
NHKによると、20日放送の第19回は、売り方を変えることで一橋領の木綿の価値を高めることに成功した篤太夫(吉沢)が、さらに商売を盛んにするため紙幣の流通にも取り組むという。勘定組頭に抜てきされた篤太夫は、財政を豊かにすることで一橋家を支えようと決意をする内容という。
一方、薩摩では、欧州から帰国した五代才助(ディーン・フジオカ)が大久保一蔵(石丸幹二)と密談を交わしていた。そして、ついに幕府は2度目の長州征伐へ……。しかし、密かに薩長同盟を結んだ長州を前に、幕府は大苦戦する。そんな中、大坂城で指揮を執る家茂(磯村勇斗)が倒れるという盛りだくさんの内容だ。
激動の幕末をテーマにした作品は、政治的な激しい動きを理解することが難しいと思われがちだが、今作は、比較的分かりやすい気がする。理由は、登場人物それぞれが、しっかりと丁寧に描かれているからかもしれない。たとえば、徳川慶喜の側近・平岡円四郎(堤真一)の最期は視聴者の涙を誘った。町田啓太が演じる新選組・土方歳三の剣さばきは、美しいと感じるほどだった。それぞれのキャラクターに見る人が心をひかれるのだ。
NHKの制作統括・菓子浩氏に分かりやすい幕末の要因を尋ねてみた。「青天を衝け」では、いくつかのポイントがあるとして紹介してくれた。「まずは、大森美香さんの脚本です。時代を描くために難解な政局の描写は避けて通れないのですが、それぞれの登場人物の気持ちに寄り添う台本になっているので分かりやすくなっていると思います。また、政治劇が長く続くとドラマ全体がどうしても難しく感じてしまいますが、そこに、まだ何者でもない渋沢栄一の視点が入ることで、現代の私たちにも体感として理解しやすくなっているのではないでしょうか」と説明した。
次に、「これも大森さんの発案ですが、やはり『家康コーナー』の存在です。その回を見る上で必要な基礎知識を家康がまとめて伝えてくれる。しかも北大路欣也さんの説得力で。物語にすっと入って行ける絶妙な導入になっているように思います」。
第19回は家茂が倒れる内容。最近は各回ともにドラマチックな展開がいくつも盛り込まれ、見る側を飽きさせない工夫を感じる。丁寧にかつドラマチックに描く作品。幕末というだけで敬遠気味している人は見ると、ハマるかもしれない。