落合陽一氏、“ガンダム論”を披露 新作「閃光のハサウェイ」は「地球環境を考えるきっかけ」
バンダイナムコグループによる新たなガンダム戦略を発表する「第1回 ガンダムカンファレンス」が15日、オンラインで開催された。
ガンダムを世界最大級のIPへと成長させるための新戦略を発表
バンダイナムコグループによる新たなガンダム戦略を発表する「第1回 ガンダムカンファレンス」が15日、オンラインで開催された。
1979年にテレビアニメシリーズが始まったガンダム。2020年には、機動戦士ガンダムシリーズのプラモデル「ガンプラ」が40周年を迎えた。
さらなる飛躍を目指そうと、ガンダム事業初となる同グループ事業戦略プレゼンテーションとして、カンファレンス第1弾の開催に至った。イベントでは、株式会社バンダイナムコエンターテインメント常務取締役でCGO(チーフ・ガンダムオフィサー)の藤原孝史氏が事業について説明した。
同グループの「ガンダム売上」は2020年に950億円を記録。ガンダム戦略強化について、藤原氏は「世界規模での話題創出、国内活性化、ターゲット別&MD連動型作品展開」を挙げ、eスポーツに注力することなどを明かした。ガンダムを世界最大級のIP(知的財産)へと成長させるための構想や施策が取り上げられた。
主要施策の1つである、ガンダム事業を通じたサステナブル(持続可能)社会の実現に向けた企画も。ガンプラ生産の中で出てくる廃プラや、プラモを作る際に出る不要なプラスチック(ランナーと呼ばれる枠の部分)のリサイクル事業を説明した。購入客がランナーを、全国約190か所に設置してある回収ボックスまで持っていくことができるという。
さらに、人口問題や環境問題への取り組みのアイデア・技術を募集する「ガンダム オープン イノベーション」と銘打った新企画も発表した。
イベントでは、トークセッションが行われた。慶應義塾大学大学院教授の岸博幸氏を司会とし、ゲストとしてメディアアーティストでピクシーダストテクノロジーズ最高経営責任者(CEO)の落合陽一氏、慶應義塾大学大学院教授の蟹江憲史氏、藤原氏も参加した。
岸氏は「ガンダムというキャラクターを活用した社会貢献とSDGs(持続可能な開発目標)推進の取り組み。ガンダムを使ったイノベーション。この2つは大事であり、新しいテーマだと思っている」と語った。
ガンダムファンだという落合氏は最新作の映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」を鑑賞したことを明かした。そのうえで、「ガンダムは一貫して、地球環境をダメにする人類を宇宙に追い出そうとするというのが、(劇中の)相手側の思想。今で言う、SDGsにつながる重要な課題だと思って見てきました」と、ガンダムのテーマの1つについて見解を述べた。さらに、「ガンダムは本当は兵器じゃないですか。たくさんの人が犠牲になる話もあって物騒だと思っていたが、さきほど社長とお話をさせていただき、『ガンダムに武器を持たせないことをポリシーとしている』と聞いて、なるほどな、と。そこは腑に落ちた。象徴としてのガンダムはキャラとしてみんな好き」と述べた。
今回の新事業にも触れ、「『閃光のハサウェイ』の映画も、地球環境をすごく考えるきっかけになっていると思う。戦争は恐ろしい、ということが映画やコンテンツの中で伝わると、逆にそうじゃないものを作ろうとしていく力が伝わっているのかなと思う。今回のオープンイノベーション企画で、コロニーを作ってくれる人がいるといいな、と勝手に思っています」と期待を寄せた。リサイクル事業については「これはすごいエコ」と評価した。
さらに、「できればガンダムを作りたいなと思ってくれる人が増えてくれれば、いち教育者、研究者としては非常にうれしい」と話した。
藤原氏は今後の展開について、「われわれのIP戦略としては、キャラクターの価値をどこまで上げていくのかに注力する。今後考えていることです」と意気込みを示した。