「Yogibo presents RIZIN.28」（2021年6月13日、東京ドーム）

　那須川天心（TARGET／Cygames）が異例の1対3マッチに臨んだ。

　3分3Rで1人1Rずつ、対戦。攻撃はパンチのみで、足による攻撃は禁止。那須川がKOされれば、その場で試合終了というルールの中、大崎孔稀（OISHI GYM）、HIROYA（TRY HARD）、そして、当日発表だった所英男（リバーサルジム武蔵小杉 所プラス）と対戦した。

　まずは同じRISEで活躍している大崎。RISEではスーパーフライ級（53キロ以下）3位で、那須川のほうが重い。チャレンジ精神を「これこそ格闘家じゃないかと思う」とたたえた那須川は、若武者に胸を貸し、果敢に前に出る攻撃を受け止めた。

　続くは、HIROYAだ。那須川にとっては大先輩で、契約体重は那須川より13キロ重い。ボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー戦以来の体重差のある相手に「1発もらったら倒れる」と警戒しつつ、「胸を借りるつもりで」で向き合った。ガードを固め狙いを定めるHIROYA。手数で押す那須川は、残り数秒で右アッパーからの左ボディーでダウンを奪った。

　そして、最後は、所。すでに2R戦っており、体中から汗が滴り落ちる。一方、体力十分の所は伝家の宝刀バックブローを放つが、那須川はかわす。そして、終盤、那須川が連打を繰り出すと、所はぐらつき、たまらずクリンチに逃れる。目つき鋭く、所を最後まで追い詰めた。

　公式試合にはカウントされないものの、抜群の存在感を見せつけ、RIZIN東京ドーム大会を盛り上げた。

　マイクを握った那須川は「こうやって1対3マッチ、なかなか賛否あって、すごいドキドキしましたし、こういった試合をやってもいいかと思ったんですけど」と前置きしつつ、ビッグマッチのために決断したことを明かし、対戦相手に感謝した。

　そして、「ボクは来年3月をもってキックボクシングを卒業して、ボクシングの道に専念します。ボクはボクシングで本気で世界チャンピオンを取ろうと思っています。みなさん、那須川天心に夢を託してください！」と宣言した。