朝ドラの気象考証担当・斉田季実治氏の“熱い経歴” 主人公・モネと「似た面あります」

気象予報士の仕事の魅力と苦悩を語る斉田季実治さん【写真:中野由喜】
気象予報士の仕事の魅力と苦悩を語る斉田季実治さん【写真:中野由喜】

災害を防ぐ仕事をしたくて、テレビ局の報道記者から転職

 続いて気象予報士の魅力と苦悩する話を聞いた。

「気象の情報は毎年、進歩して有益な情報も増えてはいますが、災害で亡くなる方は減らないです。どういう伝え方をしたらいいのか、もっとこういう伝え方をしたら良かったのかという思いが、災害が起きるたびにあります」

 気象予報士の資格を大学3年の時に取り、大学卒業後は北海道の民放のテレビ局で報道記者をしていた。災害時にはヘリで現場に向かった。

「今は災害を未然に防ごうという報道が多くなっていますが、20年ぐらい前はまだ、災害後に報じることが多かったです。災害が起こってから取材するより、気象予報士の資格を持っていますし、災害を防ぐ仕事をしたくて転職しました。防災情報をお伝えすることも気象予報士の仕事として重要度が増していると思います。実際にどこまで、できているか日々考えながらやっています」

 気象情報を使う側のことを学ぶため防災士や危機管理士の資格も取得した。星に興味のある人に防災に関心を持ってもらうため星空案内人の資格も。何がそこまで動かすのか。

「世の中の流行曲にはほとんど天気が入っています。生活や人の心、いろんなものに天気は影響します。そういうことを仕事にしているのは楽しいです。楽しいことは防災では大事なキーワード。災害で亡くなる人がゼロに近づくためには防災の講演会に来る人だけに情報を伝えるだけでは限界があります。ドラマなどで天気や防災について楽しみながら興味を持ってもらえることは大事。皆さんの意識も変わってくると思います。気象予報士の仕事は人の命、生活、安全を守ること。そのためにできることを日々、考えています」

次のページへ (3/4) 気象予報士をやってきて「その集大成のような気持ち」
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