男らしさ、女らしさは「否定しなくてもいい」 LGBTQ+滝沢ななえが語る多様性の在り方
男らしさ、女らしさは「押し付けはよくないが、否定しなくてもいい」
――急速に進む多様性社会への取り組み、当事者から見ていびつに感じる部分は。
「すごく難しいところですよね。自分が発信をする身として、本当は『マイノリティーは特別じゃない、マイノリティーでも普通なんです』と伝えたいのに、どうしても『私、マイノリティーなんです!』と主張している感じになってしまう。LGBTQ+とかセクシャルマイノリティーという言葉が世に出れば出るほど、『社会的弱者を受け入れましょう』という主張とセットに語られてしまう。でも、そうしないと理解が進まない。そういうジレンマはすごく感じています」
――最近では子どもに無自覚に性自認を押し付けないようにと、女の子にピンクの服を着せない、男の子に黒いランドセルを買わないという親もいる。
「親がそこをコントロールする必要はなくて、子どもがしたいようにさせればいいと思う。子どものうちからお母さんお父さんのジェンダー観を押し付けるのもまた違う。子どものうちって男女の区別ってすごく難しくて、私は男の子とレンジャーごっこばかりしていたし、うちの甥っ子も、お姉ちゃんの真似をしてアタシって言ったりするけど、それはLGBTとか性自認とはまた違う。あまり先回りして神経質になることはないと思います」
――伝統的な男らしさ、女らしさは今後否定されていくべきか。
「トレーナーをやってる身からすると、どうしても体つきの男性らしさ、女性らしさを表現として使う場面がある。男性らしさ、女性らしさを押し付けるのはよくないですが、否定はしなくてもいいと思います。結婚して家庭に入りたいという女性ももちろんいるし、私のパートナーがまさにそう。家庭に入ることが悪いことではないし、その人の一番幸せな生き方をチョイスできるのが一番いい世の中だと思いますね」
■滝沢ななえ(たきざわ・ななえ)1987年9月22日、東京都三鷹市生まれ。母親の影響で小2からバレーボールを始め、強豪・八王子実践高校へ進学。2006年、高校を卒業しパイオニアレッドウィングス入団。“美しすぎるバレーボール選手”と注目された。09年、チャレンジリーグの上尾メディックス移籍。13年に現役引退。17年、テレビ番組で同性愛をカミングアウト。現在はフィットネスクラブ「PERSONS Training Salon」を開業しフィットネストレーナーとして活躍する。