宣言下で映画館再開後、初の週末 「いかに戻ってきてもらえるか」 関係者の歯がゆい思い

新型コロナウイルス緊急事態宣言の再延長に伴う休業要請の一部緩和によって、映画館が再出発。1日から東京・大阪のシネコンなどの映画館が営業を再開し、緩和後初めてとなる週末を迎えた。長引くコロナ禍で、映画の公開延期、撮影中断も相次いでおり、業界の苦労は絶えない。関係者は「また新しいスタート」と安堵(あんど)しながらも、“映画館閉鎖”が続いたことに複雑な心境を抱えている。

映画館は時短営業での再開となった(写真はイメージ)【写真:写真AC】
映画館は時短営業での再開となった(写真はイメージ)【写真:写真AC】

収容率50%以内など人数制限のもとで「午後9時までの時短要請」

 新型コロナウイルス緊急事態宣言の再延長に伴う休業要請の一部緩和によって、映画館が再出発。1日から東京・大阪のシネコンなどの映画館が営業を再開し、緩和後初めてとなる週末を迎えた。長引くコロナ禍で、映画の公開延期、撮影中断も相次いでおり、業界の苦労は絶えない。関係者は「また新しいスタート」と安堵(あんど)しながらも、“映画館閉鎖”が続いたことに複雑な心境を抱えている。

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 4月25日に当初は東京・大阪・兵庫・京都を対象として発令された3度目の緊急事態宣言。1度目の緊急事態宣言が発令された昨年のゴールデンウイーク(GW)に続き、2年連続で書き入れ時に打撃を受けた。

 全国の映画館市場のシェアは、東京と大阪で約35%を占めると言われる。それだけに、映画関係者は「映画館の閉鎖。また振り出しに戻ったのか」と、大きく落胆したという。5月下旬には、渋谷のミニシアターを牽引(けんいん)してきた「アップリンク渋谷」がコロナ禍の影響もあって閉館という悲しいニュースもあった。

 5月12日からの宣言延長においても、大型の映画館の休業要請が継続された。映画製作配給の大手4社(東宝、松竹、東映、KADOKAWA)で構成する「一般社団法人日本映画製作者連盟」は同24日、6月からの営業再開を求める声明文を発表。「『映画館』におけるクラスター発生のエビデンスはない」と訴えた。

 死活問題とも言える中で、1日からの再延長期間では緩和措置が取られた。東京都では1000平方メートル超の映画館には、休業要請から、収容率50%以内などの条件のもとで「午後9時までの時短要請」に切り替わった。

 映画業界としてはようやくの再スタートだが、全面的な営業ではない。たとえば都内で2時間半の映画を上映するとしても、単純に考えても午後6時半までの上映開始となり、平日に会社員がどれだけ鑑賞できるのか。観客動員での懸念は消えない。レイトショーができず、「映画館に見に行きたいのに見れないというお客さんの取りこぼしがある」(関係者)。歯がゆい状態でもある。

 映画館は、感染対策として入念な対応を徹底してきた。場内の換気、毎回の上映ごとの座席やエレベーターの消毒、客だけでなくスタッフへの検温など。関係者は「映画館のしっかりした対策は世の中の皆さんに広く知っていただいていると思う」と強調する。それに加え、「クラスターの事例はないのに、映画館だけ封鎖というのは、ずっとおかしいと思っている」と解せない思いを明かす。

 今後の課題は、夏休みに向けた挽回への取り組みだ。「いかに家族連れ、子どもたちに戻ってきてもらえるか。あらためて、『映画って面白い』ということを伝えていくために愚直にやっていくだけ」と、関係者は語っている。

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