「ただの足し算ではなく掛け算」 「SEPT」Vol.10公演でキャストが生み出す相乗効果
ミステリアスさを秘める恩田未来を演じるポイントは?
■村田寛奈(9nine)/恩田未来役
――2本同時上演となる「ReUnion|ReVise」の見どころを教えてください。
「再演ならではの良さもありつつ、前作に引っ張られずに新しい一面を見せられるように、というのは演出のウチクリ(内倉)さんがずっと意識していらっしゃいました。前作では、ラプラス(『Rapidry Last』)は声優さんの声だけでしたけど、今回具現化されて、人になって現れたからこそできることも入っています。楽器がしゃべる設定のなかで、楽器は表情がないし、笑ったり怒ったりしているのか分かりにくかったかもしれないですけど、人間が演じることによって、よりリアリティーがあって分かりやすくなっているのかなと。前作のストーリーがベースでも、こういうせりふの言い回しもあるのかと新しい発見があったり、キャストさんが代わって音楽も新しくなっている点は、楽しめるポイントかと思います」
――恩田未来という役は、村田さんにとってどんなものですか?
「人は絶対に悩むし、苦しいし、考えることもたくさんあると思います。私も悩みながら、未来と一緒に何か作っている感覚がすごく大きくて、未来はこういうときにどう考えるかな、どういう表情で歌ったりするのかなと、村田寛奈で悩みながらも、未来として悩んでいる感じです。お稽古のときから、一緒に成長させてもらって、一緒に悩んで、一緒に楽しんで、一緒に泣いています」
――恩田未来は、相澤悠真を中心としたバンド『UN1ON』のボーカルでもあります。公演内で歌う際に意識していることは?
「未来はずっと何かを抱えて生きているタイプなので、公演で登場するキャラクターの中でも暗いほうだと思っています。でも、暗いだけだと見ている方に何も伝わらないと思って、楽しいときは素直に楽しく、苦しいときは素直に苦しいと、ちゃんと舞台でも表現できるように意識しています。歌は難しいですけど、(由羅役の綾野)ましろさんのパフォーマンスをまねできるように、自分なりに研究もしました」
――2017年から舞台や映画にも出演されていますが、お芝居への思いを聞かせてください。
「お芝居は始めてから期間が長いわけではないですけど、楽しくて大好きです。(パフォーマンスガールズユニットの)『9nine』でやっているときは、グループで一つのものを作る感覚。それは舞台も同じで、キャストみんなでいいものを作ろうという部分は似ています。歌って踊る以外に、役で何かを伝えるのは本当に難しいなって。歌詞の意味を考えれば歌で何か伝わるかな、お芝居のうえでは恩田未来としてもっと生きていけたらいいなとか。『9nine』としての活動では考えないようなことに思いを巡らせています」
――会場、配信で観劇する方へメッセージをお願いします。
「このようなご時世で、ステージができることは本当に奇跡だと思っています。そのなかで見に来てくださるみなさんに、何か少しでも楽しかった、心が安らいだ、明日から頑張ってみようと、少しでも元気になっていただけるように頑張ります」