記念の10作目完成までの舞台裏 「SEPT」の“頭脳コンビ”が2作同時上演に込めた思い
「Rapidry Last」の具現化が「ReUnion」と「ReVise」のギミックを色濃く反映
――前作からの成長・変化で挙げられる部分は?
ウチクリ「特に、楽器を演じる人たちですよね。声優さんによる声だけだったのが、生身になって登場するので」
杉浦「そもそも具現化できるのかというところから始まって(笑)」
――前作は声のみだった「Rapidry Last」は、伝説の超人気バンドという設定です。具現化に対しては、見る方の期待も非常に大きいと思います。
杉浦「音楽の世界において第一線で活躍されているみなさんが集まってくださいました。ライブシーンは、さすが伝説的バンドと見ていただけるように100%確信を持ってキャスティングさせていただいたんすけど、お芝居は初めてやられるので、最初はみなさん不安だったと思います。でも、ステージに立つとなんの不安もなく、見る側のハードルもしっかり越えてきていると自信を持って言えますね」
ウチクリ「とにかく前回の声優さんたち(平野綾、福山潤、浪川大輔、三木眞一郎)が日本を代表する方々の集まりで、それに立ち向かわなければいけないのは本当に大変でした。生身の人がそこにいるというのを肌で感じられるライブ、というのは一番大事にしたところです」
杉浦「そこに『ReUnion』と『ReVise』のギミックが一番色濃く出ているよね」
ウチクリ「ぜひ両作品を見てもらいたい」
――ウチクリさんは演出家として、「SEPT」の軸である「音楽と演劇の融合」を実現するうえで、どういった部分に難しさを感じますか?
ウチクリ「いやー、常にその答えを探しにいっている感じです。2.5次元とかで原作があるなかで、なんの後ろ盾もなく、本当にゼロから生み出していることなので。毎回感じ方は違うんですよね。演劇に音楽が寄っている日もあれば、音楽に演劇が吸収される日もあればで。やっていること自体は融合になっているんですけど、答えを探し続けています」
杉浦「ストレートに言うと、(僕の)丸投げですね(笑)。台本の段階から一緒に歩んでもらっていて、こうしたいと伝えたら、ああしたほうがいいと、返してくれて。作家と編集者みたいな関係値から始まって、今度は作家と演出家になって、(脚本を)渡したあとはキャストと演出家であり、舞台主宰と演出家。どんどん関係性が代わっていくんですけど、丸投げできることも安心と今まで培ってきた時間があって、その分大変な思いはさせていますけどね(笑)」
ウチクリ「根本的にステージを楽しむことがブレないので、何をやってもお互いの信頼につながっているのかなと思います」
杉浦「自分たちで作って、自分たちでステージに上がるというね(笑)。ユーモアの部分に関して言えば、僕はあまり得意ではなくて、すべて任せている状況です。いいように料理してくださいと(笑)」
ウチクリ「たまに怒られます。それはやりすぎだと(笑)」