華やかだけではない声優の世界 「基本はお芝居」名門・代々木アニメーション学院のこだわり
声優と聞くと、どんなイメージを持つだろうか。最近はアニメのキャラクターボイスに留まらず、テレビドラマやバラエティーへの出演、アイドル顔負けの集客力でアリーナクラスを満員にするアーティスト活動で成功している声優もいる。様々なフィールドで活動する声優だが、第一線で活躍できるのはほんの一握り。そこで、さまざまの有名声優を多数輩出してきた専門校・代々木アニメーション学院に声優になるために必要なことを聞いた。
20年でその数は4倍に。人気職業の「声優」になるための専門校に突撃
声優と聞くと、どんなイメージを持つだろうか。最近はアニメのキャラクターボイスに留まらず、テレビドラマやバラエティーへの出演、アイドル顔負けの集客力でアリーナクラスを満員にするアーティスト活動で成功している声優もいる。さまざまなフィールドで活動する声優だが、第一線で活躍できるのはほんの一握り。そこで、さまざまの有名声優を多数輩出してきた専門校・代々木アニメーション学院に声優になるために必要なことを聞いた。(取材・文=安藤かなみ)
声優ブームは数字にも表れている。声優総合情報誌「声優グランプリ」(主婦の友インフォス)が毎年付録として制作している「声優名鑑」によると、2021年の掲載者は男女合わせて初めて1500人を超えた。2001年に創刊された名鑑で掲載されていたのは370人。この20年で、“職業・声優”は4倍に増えたことが分かり、業界の勢いを感じさせる。
声優はアニメやゲームへの出演や、アーティストとしての活動、ナレーションや外画への吹き替えなど活動の幅が広い。では、声優になるためには一体どうすればいいのだろうか。作品単体のオーディションやコンテストも開催されているが、一番スタンダードな方法は専門校でレッスンを受け、事務所所属を目指すやり方だろう。声優人気が高まり続ける中、数々の有名声優を輩出してきた名門・代々木アニメーション学院の声優タレント科の授業に潜入し、その裏側を探った。
声優タレント科に通う2年生3人の生徒に協力してもらい、授業の様子を紹介してもらった。まず、発声練習からスタート。腹式呼吸など発声の基本はもちろん、呼吸する際の目線や意識にも細かく指導が入る。代アニでは1年次で発声や滑舌、呼吸法など演技の基礎を学び、エチュードや台本実習など演技の授業に入っていくという。さらにリズム感や音感を養い身体を動かすためのダンスや、ボーカルの授業も受けることができるそうだ。
発声練習を終えて体を温めた生徒たちは台本を片手に収録ブースへ。今回のアフレコ授業の題材には代アニの生徒たちによる卒業制作で実際に作られたオリジナルアニメが用意された。卒業制作を題材にした授業は、声優タレント科だけではなく、アニメーター科やアニメ音響科などアニメ制作にかかわる人材を包括的に育成している代アニならではの取り組みだ。
生徒たちはマイク前に用意されたモニターに映し出される線画に従って台本通りせりふを当てていくが、講師である竹下知雄さんからは「自分の声で絵を動かすつもりで」「身体が使えていない」「絵の表情に演技が負けちゃだめ」と厳しいアドバイスが続く。
細かいニュアンスやせりふの流れを都度確認しながらリハーサルを複数回行い、最後は実際に音声を収録。絵に合わせて自身の演技をチェックし、その場でまたフィードバックを重ねていく。生徒たちはメモを取りながら竹下さんのアドバイスに真剣に耳を傾けていた。授業を受けた生徒の1人は「自分の実力不足を感じたし、欠点を改めて見つけることができて良かったです。でも、ブースに入る緊張感もあって難しかった」と充実感たっぷりにこの日の実習を振り返った。