ろう者のヒロインとの恋物語…演劇「ハイキュー!!」で人気の織部典成が挑んだ手話への思い

カメレオン俳優が目標と語った織部典成【写真:荒川祐史】
カメレオン俳優が目標と語った織部典成【写真:荒川祐史】

「自分的にはそんなつもりはなかったが…いつの間にか手の方が動いていたんです」

 撮影では急きょ、手話が追加されるシーンもあった。「ずっと手話のことばかりを考えていたので、普通のせりふを手話でやってしまい、現場が『違う、違うよ、考えすぎだよ』と笑いに包まれるということもありましたね。自分的にはそんなつもりはなかったんですけど、いつの間にか手の方が動いていたんです」と笑う。「役が決まってから、休む時間はなかったんですが、本当に楽しい現場で、みなさん優しい方が多く、すごい良い環境を作っていただいたと思います。いろんな役者さんのお芝居も見させていただき、成長できた場所でした」と充実の現場を振り返った。

 映画を通じて、ろう者の世界を垣間見たことで変化はあったのだろうか。「梶本さんは、表情がすごく豊かなんです。表情だけで会話できるんじゃないかというぐらい。だから、僕も表情を意識するようにしました。みなさんは、ろう者の方が大変だというのは理解しているかもしれないけども、それはほんの数%。でも、ろう者の方は、何か特別扱いして欲しいわけではなくて、みんなと同じように接して欲しいと感じています。僕らだって、困っていたら、手を差し伸べて欲しいじゃないですか。それと同じこと。でも、まだまだ日本では浸透していない気がします。今は僕が経験したこと、感じたことを届けたいという思いが強いです」

 今後はどんな俳優になりたいのか。「息の長い役者になりたいです。役者はいろんなものになれるし、挑戦できる。充実した職業だと思うので、死ぬまでやっていきたい。『あの人、基本ずっと芝居のことしか考えてなかった』と言われて、死にたいですね」。尊敬する俳優は山田孝之だという。「ドラマ『勇者ヨシヒコと魔王の城』を観たのが俳優に興味を持ったきっかけでした。それから、いろんな作品を見ました。映画『クローズZERO』シリーズも全然違う役で、ドラマ『WATER BOYS』を見た時は、今とはまた雰囲気が違うなと思いました。人って、こんなにも顔を変えられるんだ。いつか憧れの方と一緒に作品を作れたら、と思います」。目指すは変幻自在のカメレオン俳優だ。

□織部典成(おりべ・よしなり)2000年8月18日、大阪府出身。17年から現在も所属する「劇団番町ボーイズ☆」の舞台でデビュー。同年よりダンスボーカルグループ「銀河団」のメンバーとしても活動を開始し、18年には「CONOMi 第5回日本制服アワード」で男子グランプリを受賞。身長181センチ。趣味:音楽・映画鑑賞、ゲーム、筋トレ、人間観察。特技:サッカー、ダンス、空手。

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