デアゴが究極の「ゴジラ」に挑戦! マニア垂涎の完成形、その情熱に迫る

CMでもおなじみ、デアゴスティーニ(以下デアゴ)の「週刊 ゴジラをつくる」が、いまマニアの中でクオリティが高すぎると話題になっている。

細部までにこだわったゴジラの造形
細部までにこだわったゴジラの造形

目指したのは「パートワークの枠を超えるスケール感」

 CMでもおなじみ、デアゴスティーニ(以下デアゴ)の「週刊 ゴジラをつくる」が、いまマニアの中でクオリティが高すぎると話題になっている。

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 毎号刊行されるマガジンに同梱されているパーツを組み立てて、ひとつの作品を作り上げていく、この「パートワーク(分冊百科)」と呼ばれる手法をいち早く取り入れたのが、デアゴスティーニ(以下デアゴ)だ。

 これまでの作品を振り返ってみよう。まずは2016年発売された「週刊 サンダーバード2号&救助メカ」だ。全長約54cmで機体中央のコンテナポッドやギミックを完全再現。まさに圧巻のスケール感だった。次に記憶に新しいところでは「週刊 バック・トゥ・ザ・フューチャー デロリアン」だ。劇中に登場するタイムマシン「デロリアン」に数々のギミックを施した。あのTVCMを見て購入を決めた映画ファンも多いのではないだろうか。そして「週刊 ムーミンハウスをつくる」は、「クリエイティビティに溢れ、高品質な出来」と著作側に称賛され、女性ファンの獲得に一役買った。このように、デアゴが長い間、多くのファンに支持され続けているのも頷ける。

 そんなデアゴが次に挑んだのは特撮の王様「ゴジラ」だ。あの迫力を、どのように表現するか。キャラクター造形の制作に強い信念を持つデアゴは、これまでの「ゴジラ」では、他社と何の変りもない。そこで社内で何度も会議が行われた結果、「リアルな再現」へのこだわりという結論に達した。

ゴジラを動かすためにスペシャリストが集結 

「ゴジラ」といっても作品によって顔つきやボディが微妙に異なる。マーケティング部所属の鎌田奈那美氏は発売に至る経緯を「入念な市場調査を実施し、ファンは一番どの世代のゴジラを支持しているのか、有識者や数千人におよぶゴジラファンにリサーチを重ねた結果、最も支持を集めたのは初代ゴジラ。そこで『週刊 ゴジラをつくる』は初代ゴジラをモデルにすることを決定しました」と振り返った。

 制作モデルが決まり、次に白羽の矢を立てたのは、ゴジラ造形の第一人者である酒井ゆうじ氏。映画「ゴジラVSデストロイア」の造形などにも携わった細部へのこだわりが、初代ゴジラのディテールを作り上げた。そして重厚感のあるゴジラの歩行をラジコンで再現させるため、ラジコンメーカーの京商に依頼。このスペシャリストたちによって「週刊 ゴジラをつくる」のストーリーラインが出来上がった。

 完成したゴジラの大きさは1/87(全高約60cm)に決まった。これについてデアゴ編集部の中野弘太郎氏は、ゴジラは他の乗り物と並べてこそ、その皮膚の細かいディテールや容姿などの迫力が際立つと考え、鉄道模型の「HOゲージ」とスケールを合わせたという。まさにゴジラの魅力を最大限に引き出せるサイズを考えて作られている。材質は塩ビにすることで、実際に動いたときの精巧さを表現。ただし、組み立てることで、ボディに”合わせ目(分割線)”が出てしまう問題点も「ある工夫」を施すことで解決している。

 コントローラーにはゴジラの口が開く、吠える、首を振る、背びれが光る、腕が動く、尻尾を振るといったアクションを組み込んでいるが、それらを引き立てる演出として、伊福部昭氏のゴジラ映画の名曲がラジコンのコントローラーから流れるという、思わずファンをニヤリとさせる粋な演出も忘れてはいない。また裏話として「放射熱線」を吐くシーンを口からスチームを吐かせて再現するという計画もあったが、内部の構造上、やむなく断念したという。これについて中野氏は「限られた予算内でプロジェクト関係者全員が目指す理想のゴジラにいかに近づけるか、せめぎ合いの毎日だった」と当時の様子を振り返った。

次のページへ (2/3) ゴジラ生誕65周年に創刊した「週刊 ゴジラを作る」
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