「科捜研の女」刑事役、37歳“歌う俳優”が刺激を受けた“韓国ミュージカル”の現場

「科捜研の女」での蒲原役は5年目となった石井一彰【写真:舛元清香】
「科捜研の女」での蒲原役は5年目となった石井一彰【写真:舛元清香】

「科捜研の女」での蒲原役はどんどん変化「だんだん素の石井一彰に近づいた感じ」

 ミュージカル俳優としてのキャリアを着実に積む中、15年にドラマに進出。16年からは「科捜研の女」のレギュラーの座をつかんだ。「新たなチャレンジをしたい。簡単に言うと仕事の幅を広げたい。また映像の仕事でミュージカル以外の自分を知っていただきたいという気持ちでした。ミュージカルを長くやっていくためには、何か変えないと思っていた時期だったんですね。最初は“お芝居が大きい”と言われたり、カメラに入る、入らないということも分からなかった。必死でしたね」と振り返る。

 5年目となった「科捜研の女」での蒲原役はどんどん変化している。「長くやらせてもらっている良さがあります。すごく挑戦できる現場です。キャラクターが少し特殊だったんです。これまでの(土門の相棒となる刑事)役は、土門さんを崇拝している設定が多かったんですが、僕の役は『なんで、こんなところに来ないといけなんだ』みたいな気持ちがあって、それが変化していく。最初にこの役をいただいた時に、『どんなことができますか』と聞かれて、僕は『多分、変化していけると思います』と答えたんです。その点は制作側と意見が一致したなと思っています。顔つき、表情、髪型を変えていけたらと思っていました。最初の方はツンケンした感じでしたが、今はちょっとコミカルな部分を出しているんです。だんだん素の石井一彰に近づいた感じがします。完全に一致してしまったら、演技ではなくなるのかな」と笑う。

 映像の仕事をする中でも、自分は舞台俳優であるという意識もある。「映像の仕事をしたおかげで、新しくファンになってくださった方もいらっしゃいますし、SNSでも感想をいただきます。ただ、舞台でのカーテンコールって、何度も味わいたい感覚です。映像の仕事では味わえない客席からのダイレクトな反響がなんとも言えません。映像の本番前の緊張感も好きですが、舞台袖で見たり、楽屋から出る時の高揚感も好きです」とその熱い思いを語る。

 劇場版での映画初出演、ファッションブランド「PLST(プラステ)」2021春夏メンズモデルも務め、舞台から映像、ファッションモデルまで多岐にわたり活動を広げているが、今後はどんな俳優を目指していくのか。「俳優って、ちょっときれいにしていなければいけないというものがあるじゃないですか。でも、僕はかっこよくいるのがすごく苦手。恥ずかしいと思ってしまうんです。もっと人間力を増すというか、人間くさくいたい。イメージがつかない役者になりたいです。“この人はおかしいな”って思われるような俳優になりたいんですね」。COTTON CLUBでも少しクセのある大人のステージを見せてくれそうだ。

□石井一彰(いしい・かずあき)1984年2月29日、東京都出身。2006年、学習院大学経済学部経営学科を卒業。2006年に創設された東宝ミュージカルアカデミー第一期生として鍛えられ、翌年ミュージカル「レ・ミゼラブル」でデビュー。その後、舞台を中心に活動し、「ミス・サイゴン」「太平洋序曲」「ロミオ&ジュリエット」などのミュージカル、「宝塚BOYS」などのストレイトプレイ、さらにはライブ・朗読劇など、そのジャンルを果敢に広げている。身長179センチ。趣味:身体を動かす事。特技:バスケットボール、ラグビー、フィールドホッケー、水泳。

衣装提供:PLST(ジャケット)

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