デビュー50周年の「ドラゴン」藤波辰爾 波乱万丈のスター人生を振り返る
鬼軍曹・山本小鉄さんの自宅から固定電話でプロポーズ、泣き崩れる女性ファン続出
私生活も充実。凱旋帰国した年の秋に知り合った、伽織(かおり)夫人とは早々と結婚を決めていたものの、会社の方針もあって「3年間待ってくれ」となった。
今は亡き鬼軍曹・山本小鉄さんに背中を押され、まだ携帯もない時代、小鉄さんの自宅から固定電話でプロポーズしたという。
藤波が結婚を発表したときには泣き崩れる女性ファンが続出。新日本の会場から蜘蛛の子を散らしたように女性ファンがいなくなった。
「宝物はかおり」「いつまでも男と女でいましょう」と言うほど、仲の良い2人。一男一女をもうけ、長男は二世レスラーとなったLEONAで、親子でプロレス界を沸かせている。
ディズニー大好き一家としても知られ、仲睦まじくディズニーシーを楽しむ藤波夫妻と出くわしたこともあった。現在では夫人の料理の腕を活かした事業「藤波家の食卓」を展開するなど、今でもおしどり夫婦として有名だ。
50周年記念イヤーの幕開けを告げる4・16後楽園ホール大会でも、老練なテクニックを披露したが、もとよりプロレスの天才。加えてファンを魅了した数々のドラゴン殺法も、ほとんどが藤波のオリジナル。それまで見たことのないドラゴンスープレックス、ドラゴンロケット、ドラゴンスクリューなど多彩な技のレパートリーを誇り、そのファイトは、常に新鮮だった。
藤波のファンは「藤波一家」ともいうべき、長く応援している人が多い。結婚で女性ファンは減少したものの、それ以降は何があっても変わらず応援し続ける古参ファン揃いである。
半世紀もの間、プロレスラーを続けるのは並大抵なことではない。怪我で苦しんだ時期、燃えるものがなくなったとして所要欠場を繰り返した時期、経営の大変さに四苦八苦した時期、引退と現役続行の間で思い悩んだ時期……いろいろな苦悩もあったが、花も嵐も踏み越えて今でも現役の藤波は素晴らしい。
これからもコンディションに気をつけて、長く活躍してほしい。