本道VS男色殺法 DDTでついに究極のタイトルマッチが実現 生き残るのはどっち【連載vol.35】
「DDTの権化」男色ディーノが「本道」秋山準に一泡吹かせられるのか? 4・11後楽園ホール大会の大一番で、DDTの存在価値が問われる。
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「DDTの権化」男色ディーノが「本道」秋山準に一泡吹かせられるのか? 4・11後楽園ホール大会の大一番で、DDTの存在価値が問われる。
KO-D無差別級王者・秋山は遠藤哲哉からベルトを奪い、D王GPリーグ戦で敗れていた樋口和貞の挑戦を退けV1を飾った。「これで堂々とベルトを巻ける」と、チャンピオンポーズを披露し、胸を張った。
全日本プロレス、そしてノアで築き上げてきた秋山の「本道」が、「文化系プロレス」を掲げ旗揚げ24周年記念大会を終えたDDTを、完全に牛耳ってしまうのか。これでDDTの代名詞ともいえるディーノが秋山の軍門に屈してしまえば、もはやDDTイズムは風前の灯となる。
当初、秋山はリング上で「DDTをここまで支えてきた1人であることは間違いない。リスペクトしている」とディーノを称えていた。ディーノの男色殺法を完全否定しているわけではないのだ。
ところが、ディーノは両中指を立てて応じた。これには、秋山も「あれは許さない」と怒り心頭。「リアルでいく」と明言し、ディーノに期待しているDDTファンの思いを、粉々に打ち砕くと予告している。
ディーノは「アレ(中指立て)は、私が誰かに怒られたり、拒絶反応を示されたときに出てくるのね。かつて山本小鉄さんに抱いた感情が、今また、湧いてきたのよ。コレ(中指立て)が私のやり方、DDTでやってきたことなの。まだ引っ込められないわ」と反論する。
両者のプロレス感の違い、ファイトスタイルの溝は、埋めようがない。ただ、秋山がディーノの存在感を認めているように、ディーノもまた秋山に熱い視線を送っているのも事実。
ディーノが広島県で高校生だった頃、秋山は全日本でデビュー。「超新星」として、一気にスター街道を駆け上がっている。その勇姿をディーノは鮮明に覚えている。
大阪で学生プロレスを始めたとき、キャッチコピーは「超真性」だった。コスチュームもピンクではなく、秋山がイメージカラーとしていた青だった。「ファンだったのよ」と頬を朱に染めた。
だが、今回ばかりは「負けたけど、何かを残そう、というのはないわ。準ちゃんのプロレスは、本道というものを積み上げてきたモノよね。私のプロレスはプロレスの本来、積み上げるべきものではないモノを積み上げてきたのよ。そのぶつかり合いだから、勝つことに意義があるの」と、勝利にこだわる。
今はその手を考え続けている。「表の48手に、裏の48手。そして煩悩が百と八つね。足すといくつかしら? そう、204手あるわよ」と勝利の方程式の答えは数えきれないほど。
一方、秋山は「ファールカップ? 俺には必要ない。新宿二丁目特訓? そんなもん必要ない」と、男色殺法の攻略に自信をみなぎらせている。
ディーノは「私のことをなめているのね。いいことよ。とことん、なめてほしいの……ねっとりとしつこく」と、ほくそ笑む。
テレビゲームで秋山に設定したコンピューターを相手に10回戦った結果は、2勝8敗。2勝は秋山の油断を突いた返し技、どさくさ紛れの勝利だったという。
「なめてちょうだい。そこに私の勝機があるの」と、舌なめずりするディーノの目が妖しく光った。