AKB48グループ×ゴスペラーズ黒沢薫 新曲「はじまりの唄」完成までの舞台裏
メンバー9人が歌唱力No.1決定戦と向き合い、歩んできた生きざまを歌詞に反映
今年1月末に始動し、候補となる2曲を用意。協議を経て1曲に絞った段階で、作詞も追加で決まった。「自分なりのテーマを見つけなきゃいけない」。そこで、黒沢氏はファイナリストら9人が歌唱力No.1決定戦に挑んできた姿をそのままストーリーにすることにした。
「普通のラブソング、ラブバラードでも良かったんですが、最初に披露する舞台がファイナリストLIVEというのもあって、彼女たちには所信表明するような曲を歌ってほしかった。言葉を伝える力がしっかりできてきたと思ったので、歌唱力No.1決定戦で決勝大会に残っていく過程、そのなかで評価されていく過程、歌声に価値を置いている気持ち、メッセージ性が強い歌詞にさせていただきました。その歌詞を追っていくと、ファイナリストLIVEのステージに立っている意義、『だから私はここにいる』という歌になっています。そして、実は彼女たちのことを歌っていると同時に、応援しているファンのみなさんの曲にもなっています」
オリジナル曲「はじまりの唄」は、黒沢氏自身がボーカルグループのゴスペラーズに所属していることもあって、幅広い音域、ハモリ、フェイクなどさまざまなポイントが散りばめられており、歌割もそれぞれに細かく分けられている。事前に受け取った9人の音域表を基に、歌唱力No.1決定戦のビデオを何回も見返して音域をチェック。歌詞の大まかなストーリーを作り、誰がどこ歌うかを当てはめながら書き上げていった。
「彼女たちへのオーダーメイド。ただ、僕が書いてはいますけど、メンバーには『これはあなたのオリジナル曲だよ』と言いたい。だから、いつ歌ってもらっても構わない曲を作ったつもりです」
ファイナリストLIVEに向けたリハーサル2日間のうち、黒沢氏は最終日の3月23日にメンバー9人が練習するスタジオへ。「(はじまりの唄は)あなたたちのことを思って物語にしました。感情は乗せやすいけど、爆発させにくくもある。でも、うまく歌えた時にみなさんの新しい扉が開けると思います」とメッセージを送り、2時間以上にわたって自ら熱血指導を行った。
「上ハモはもうすこしはかなく」
「そこは泣きがほしい」
「リズムはそのままで、声の波で調整する感じ」
「すごく良くなったから、欲張りなことを言ってもいいかな」