令和のエビスコ(大食い)伝説の誕生が楽しみ 昭和の伝説の主はあの「虎ハンター」【連載vol.33】

先日の大食いテレビ番組「デカ盛りハンター」で、全日本プロレスの宮原健斗、ジェイク・リー、田村男児の3人が大食い女王らと対決。その牙城に迫ったが、残念ながら敗退した。女性陣の食べっぷりに目を丸くして「見かけ倒しで、すいませんでした」と頭を下げている。

小林邦昭(左)とタイガーマスクこと佐山聡の若手時代(新日本プロレス1978年4月M・S・Gシリーズ)のパンフレット【撮影:柴田惣一】
小林邦昭(左)とタイガーマスクこと佐山聡の若手時代(新日本プロレス1978年4月M・S・Gシリーズ)のパンフレット【撮影:柴田惣一】

毎週金曜午後8時更新「柴田惣一のプロレスワンダーランド」

 先日の大食いテレビ番組「デカ盛りハンター」で、全日本プロレスの宮原健斗、ジェイク・リー、田村男児の3人が大食い女王らと対決。その牙城に迫ったが、残念ながら敗退した。女性陣の食べっぷりに目を丸くして「見かけ倒しで、すいませんでした」と頭を下げている。

 全日本の選手は以前、東京・後楽園ホールのイベントで、ギャル曽根に敗れたこともある。一説によると、女性の胃袋は収縮が大きく、食べためができるそうだ。もちろん個人差はあるだろうが、女性の方が大食いを楽しんでいる。

 以前、バイキングレストランにプライベートで来店していたギャル曽根を見かけた。ニコニコとうれしそうにお皿に盛り、おいしそうにたっぷりと食べていた。TVでなくても本当にこんなに食べるのだ、と感心したのを覚えている。

 食べることは生命の源。たくさん食べる女性が元気なのは素敵なことだ。レスラーのエビスコ(大食い)伝説も多い。

 数年前、Wー1時代のワイルドだった征矢学に、大食い選手権に出場する話が持ち上がった。収録日に試合が入り、やむなく辞退したが「残念だったけど、出場しても大食い女王には勝てなかったかも…」と征矢は振り返る。

 また、シバターの動画に出演した征矢は、デカ盛り中華を楽しんだ。その夜、急きょ試合が入り、しかも対戦相手が崔領二。「トップロープから那智の滝(腹部へのフットスタンプ)をされたらどうしよう」と心配しながら会場に向かったこともある。幸い、その技はくらわずに済んだが「食べ過ぎて苦しかった」と冷や汗をかいたという。

 伝説のエビスコレスラーと言えば「虎ハンター」として名をはせた小林邦昭だろう。若手の頃、新幹線の食堂車でメニューの上から下まで全部をたいらげたという逸話が伝わっていたが、本当だった。

「飲み物は別だけど」と前置きした上で「本当に全部、完食したんだよね!」と顔をほころばせる。最初はいくつかのメニューを頼んでいた。その時、今は亡き鬼軍曹・山本小鉄さんが「食事メニューを全部食べたらお小遣いをやる」と言い出した。

「よし!」と張り切ったものの、途中で苦しくなって来た。ところが、人が集まり「頑張れ、頑張れ」とエールが爆発していた。これでは止められない。ハンバーグ、カレー、ナポリタン、ミートソース、サンドイッチ、エビフライ、とんかつ、エビピラフ、親子丼、天丼、カツ丼…上から順に注文しては次々とたいらげて行った。「俺、何でこんなことで頑張らなきゃいけないのかなと思ったけど、小鉄さんはにらみを効かせているし、応援してくれる人はたくさんいるし…」

 お腹がポンポンにはち切れそうになったが何とか食べ切った。「食事も練習のうちと言うけど、そういうレベルじゃなかったよ」とポツリ。人生で最高に食べたと振り返る。

 昭和のレスラーは「飲めや、食えや」の洗礼を受けた。「立って食べろ。流し込め」と食事も修行の一環だった。現代ではアスリート系のレスラーも多く、ブロッコリーにチキン、夜は炭水化物を食べないなど徹底しているなどとも聞くが、やはり豪快に食べて飲んでのレスラー伝説は、心が躍る。

 ピザを手際よくパタパタと折り畳み、アッと言う間に完食する大日本プロレスの神谷英慶など、頼もしい「有望株」もいる。

 令和のエビスコ伝説が誕生する日が待ち遠しい。

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