「路上やキャンプ場で闘ったことはあるのか」秋山準に突き付けるDDTの威信
「時は来た。俺がやる」。DDTの“吠えろ! オホーツク”樋口和貞が「本道」秋山準の減らず口を黙らせる。
「自分の源をバカにされた。絶対許せない」
「時は来た。俺がやる」。DDTの“吠えろ! オホーツク”樋口和貞が「本道」秋山準の減らず口を黙らせる。
樋口は3・28後楽園ホール「Judgement2021~DDT旗揚げ24周年記念大会~」で、KO-D王者・秋山に挑戦する。「本道」を旗印としてDDT改革を実践する秋山の憎々しい“猛口撃”にさらされ、いよいよ決意を新たにしている。
大相撲を経て2014年にDDT入りした樋口だが「この団体が好きで入団した。強さ、激しさ、面白さ…世界中のプロレス団体の中でも一番、素晴らしい」と改めて力説。秋山の「ちっちゃいとこで、ずっとやっているとこうなる。外を見ていろいろやっていれば、いろんな考えが出てくる。DDTの中だけだから、こういう風になっちゃう。俺はいろいろ外でやってきたから、ちゃんと選手権で教えてあげるから」というトコトン上から目線の発言に猛反発である。
だがしかし、昨年DDTをけん引した遠藤哲哉が、秋山に至宝を奪われ「DDTイズム」が危機にさらされているのも事実。秋山の天井知らずの上から目線と鋭い舌鋒はさえわたっている。
DDTの威信をかけて臨む樋口は「彼は『まっする』のリングに上がったことはあるのか。路上やキャンプ場で闘ったことはあるのか。こっちの方が、色んな闘いをしてきた。どっちが『ちっちゃいところ』なんだよ」と、DDTの誇るバトルフィールドの広さを強調する。
確かに、DDTのふり幅の大きさ、ファイトスタイルの多様性は本道を上回っているかも知れない。「DDTと本道の違いは確かに認める。でも、俺の通ってきた道、DDTの歴史も重い。俺が彼に分からせてやる!」と、丸い土俵から四角いリングへと闘いの場を広げて来た樋口の舌もどんどん滑らかになってきた。
3・14後楽園の前哨戦では、はだしで出陣した。原点回帰の決意表明だったのに、秋山は「シューズを忘れただけだろ」と手厳しい。これには、日ごろから鷹揚(おうよう)な樋口も「カチンときた。自分の源をバカにされた。絶対許せない」と憤怒の表情を浮かべる。
昨年12・6東京・成増大会のD王GP公式戦で、樋口は秋山に勝利している。243秒でブレーンクローから押さえ込みフォール勝ち。3・28決戦に向けての前哨戦でもクロー攻撃で優位に立っている。
もちろん秋山も対策を講じてくるだろうが、その上を行くしかない。「頭はもちろん、腹、肩…締め上げるポイントはいくらでもある」と樋口はうそぶく。どうやら両手で2か所を同時に攻め立てる「ダブル・クロー」も頭にあるようだ。
元より絞り上げる力には自信がある。高校時代、全道選手権で3位になった柔道で道着を、大相撲でまわしを、日々、嫌になるほど、絞ってきた。12歳から20年、絞り続けた格闘人生のすべてを注ぎ込む。その大きな手で、その握力で、ベルトをつかみ取る。
秋山の頭を始め全身をぼろ雑巾の様にねじり上げるのみ。「直撃だから効果大だろ」と不敵にほほ笑む樋口は、いつもの温厚な樋口ではない。殺気立ち、背後に怒りの炎がメラメラと燃えさかっている。
3・28決戦まではだしで駆け抜けるプランもある。「俺の新しい土俵を披露してやる」という秋山に「上等だ。見せてもらおうか」とズバリ。起伏もあり、とてつもなく広い樋口の土俵を見せつけるのみ。
「はだしのチャンプ」がDDTに誕生する。