【プロレスこの一年 ♯37】打倒・天龍 新日本とWARの対抗戦激化 グレート・ムタとカブキの“親子対決” 93年のプロレス
1993年3月16日、ユニバーサルのザ・グレート・サスケが地元・岩手の矢巾町民総合体育館にてみちのくプロレス旗揚げ戦を行った。サスケは前年11月27日にみちプロ主催興行を盛岡で開催。そしてこの日、ユニバーサルから独立した団体として、日本で初めてのローカルプロレスが誕生したのである。みちプロは、サスケの地元である岩手県盛岡市を拠点に、東北6県をターゲットにした団体。サスケは「東北をルチャの都に」を合い言葉に、地方発信のプロレスをスタートさせることとなる。今回は、みちプロが正式に始まった、今から28年前のプロレス界を振り返る。
天龍率いるWARと新日本の対抗戦が激化
1993年3月16日、ユニバーサルのザ・グレート・サスケが地元・岩手の矢巾町民総合体育館にてみちのくプロレス旗揚げ戦を行った。サスケは前年11月27日にみちプロ主催興行を盛岡で開催。そしてこの日、ユニバーサルから独立した団体として、日本で初めてのローカルプロレスが誕生したのである。みちプロは、サスケの地元である岩手県盛岡市を拠点に、東北6県をターゲットにした団体。サスケは「東北をルチャの都に」を合い言葉に、地方発信のプロレスをスタートさせることとなる。今回は、みちプロが正式に始まった、今から28年前のプロレス界を振り返る。
この年は、SWS崩壊により旗揚げされた天龍源一郎率いるWARと、新日本プロレスの対抗戦が激化した1年となった。中心にいたのは、天龍だ。93年の起点となる1・4東京ドームで、天龍は長州力と6年4か月ぶりの一騎打ち。試合は天龍が勝利し、同大会ではグレート・ムタが蝶野正洋を破りIWGPヘビー級王座防衛とともに、NWA世界ヘビー級との2冠王となった。天龍は1月24日、WWF「ロイヤルランブル93」に参戦。WAR2・14東京体育館では石川敬士とのタッグで藤波辰爾&馳浩組と対戦した。これが、天龍と藤波の初対戦だった。
新日本4・6両国では長州と天龍がドームの再戦を行い、長州が雪辱に成功した。5月3日には新日本が福岡ドームに初進出し、天龍とアントニオ猪木が初遭遇。猪木&藤波の師弟コンビに、長州&天龍の越境コンビが対峙する図式になっていた。同大会ではハルク・ホーガンが上陸し、ムタに勝利。金本浩二が3代目タイガーマスクに変身したのも福岡ドームだった。“タイガーマスク”が新日本に登場するのは初代の引退以来10年ぶり。3代目はデビュー戦で、いきなり獣神サンダー・ライガーを破っている。
WAR5・24大阪では、グレート・カブキとムタの“親子対決”が実現。父カブキが反則勝ちを収めている。新日本6・15日本武道館では新日本とWARが5対5イリミネーションマッチで激突し、新日本軍が勝利した。2・16両国での10人タッグマッチに続き、多人数マッチで新日本が連勝となったのである。また、カブキとムタの親子対決が舞台を新日本に移して、6・15で再戦。IWGPヘビー級王座も懸けられた第2ラウンドは、ムタが反則勝ちでベルトを守る結果となった。
6・17両国はWARの1周年記念大会で、天龍が橋本真也に勝利。新日本8・8両国で両者は再戦を行うも、天龍が橋本を返り討ちにし、2連勝を飾ってみせた。天龍に連敗した橋本だが、9・20名古屋でムタを破り、通算5度目の挑戦にしてIWGPヘビー級王座初戴冠を達成する。この年の新日本「G1クライマックス」は、史上初の両国7連戦を敢行。8・7両国で藤波と馳の決勝戦が行われ、藤波がG1初制覇を達成した。
その藤波は、新日本9・26大阪で天龍と初シングル。藤波が制した試合のフィニッシュは、グラウンドコブラツイストだった。藤波と天龍は舞台をWAR12・15両国に移し再戦。今度は天龍が藤波を破り、雪辱に成功している。天龍は翌94年、1月4日の東京ドームで猪木と初の一騎打ちを行うこととなる。