令和の今こそ昭和の検証が必要? 3冠戦の挑戦者が馬場と猪木の対立を再び蘇らせた
リングネームで成功したともいえるヨシタツ
本名の山本尚史でデビューし、アメリカで「ヨシタツ」のリングネームとなったが、これはお父さんの名前だという。いろいろな案があったというが「ヨシタツ」という音の響きがアメリカ人の心に刺さったのだろう。
そこで思い出したことがある。アメリカの某団体で、日本人レスラーのリングネームを決める際、昭和天皇のお名前「ヒロヒト」を、という案が提示された。さすがに日本人選手は「と、とんでもない。日本に帰れなくなる」と顔色が変わった。破格のファイトマネーや好条件を提示されたというが、キッパリ断ったそうだ。結局、その名前になることはかったが、アメリカで大活躍。「今でも思い出しても冷や汗が出てくる」というから、かなりの衝撃だったのだろう。
リングネームひとつで受ける印象はだいぶ違う。藤波辰巳(当時)が凱旋帰国した時「ああ、いい名前だなと思ってファンになった」と、照れながら告白した人もいる。
高崎山猿吉などのユニークなリングネームもかつてはたくさんあった。自分の付き合っていたホステスさんの名前をつけた女子団体の経営陣もいた。今は本名のままリングに立つ選手も多いが、マットを彩った名選手のリングネームの由来を思い起こすのも楽しい。
リングネームで成功したともいえるヨシタツ。反発や批判を称賛に変えるのは、3冠を奪取するしか道はない。
「王道ストロングスタイル」そして「超闘魂」のスタートは、3冠ベルトを腰に巻いてからだ。