中村雅俊が被災した故郷に10年通って感じたこと「心の復興必要…俺たちの出番」【#これから私は】
74年のドラマ「われら青春!」の生徒役だった出演者やスタッフと一緒に被災地へ
2月に70歳になった。自分を見つめ直し、これまでの被災者との触れ合いもあって、ある心境の変化があったという。被災者も同じ思いなのでは、と紹介した。
「70歳になり、俺自身、残された日々を考えると丁寧に生きていきたいなと思っているんです。被災された方々にも一日一日を丁寧にかみしめるように生きていってほしいなと感じています。多分、俺が言うまでもなく被災された方々は、命の大事さは普通の人以上に考えていると思います。そう生きているのだろうとも思います。で、俺も、その結果として自分がどう生きるかというテーマをもらったような気がしています。限られた時間を生きて人生の幕を閉じる時、『良かった』と言えるような生き方を俺はしたい。被災された方々も、きっと同じように思っていると思います」
最期を迎える時「良かった」と言える人生は幸せに違いない。中村は、被災者がこれからの日々を丁寧に生きることで幸せになり、心の復興につながることを願っている。最後にちょっと明るい変化も話してくれた。
「最近は被災地に笑顔が増えました。確実に。震災直後は、聞くお話は全部、悲劇。すべての人が悲劇でした。お父さん、お母さんが亡くなり、手を持っていたけど放してしまった……。10年たって今は会話にちょっと笑い話も交じっています。笑顔も」
中村は新型コロナウイルス禍前、毎年3、4回被災地に足を運んでいた。うち1回は1974年のドラマ「われら青春!」の生徒役だった出演者やスタッフと一緒だ。仲間を引き寄せる中村の温かい人柄はこれからも被災者に心の潤いを与えるに違いない。