中村雅俊が被災した故郷に10年通って感じたこと「心の復興必要…俺たちの出番」【#これから私は】
復興の進んでいる地域と手つかずの場所「忍びないです」
この10年、被災地に通って感じた復興の課題もある。
「被災地に行くと格差があるんです。すごく復興の進んでいる地域と手つかずの場所。忍びないですよね。人口の少ない地域は行くたびに、ああ、まだまだ先なんだなと、自分の中に憂いがあります。もう一つ大きいのは人口問題。被災地には働く場所がなくなり、みんな被災していない都市に行くんです。10年もたつと新しい土地に定着し、子どもは新しい土地の学校に行くようになります。大人は今から地元に戻って仕事を見つけるのはすごく困難。働きに出た人が戻らないという現実が深刻な問題としてあります」
東北では2月13日に震度6強の地震があったばかり。2011年の余震と言われている。
「ネガティブな思い出がよみがえります。津波がなかったからよかったのですが、津波があったら……東日本大震災は終わってないというか、実際、余震だそうですし、終わりのない出来事だと実感としてありますよね」
中村が考える復興とは何だろう。
「復興は、前にあった形のものを元通りにするのではなくて、最終的には精神的なものだと思っています。単純に住む家ができた、歩く道ができた、ではなくて自分の中の幸せ。心の底からほっとして『ああ今は幸せだな』と言える“心の復興”が必要な気がします」
次のページへ (3/3)
74年のドラマ「われら青春!」の生徒役だった出演者やスタッフと一緒に被災地へ