楽しさと強さは両立する DDT魂でレジェンド・秋山準の「本道」に対抗する若き王者の熱い想い
「やる気! 元気! 勇希!」DDTのユニバーサル王者・上野勇希が「楽しい道」プロレスで「本道」に、渡り合う。
3・14後楽園ホール大会で岡田佑介とV4戦
「やる気! 元気! 勇希!」DDTのユニバーサル王者・上野勇希が「楽しい道」プロレスで「本道」に、渡り合う。
3・14後楽園ホール大会で岡田佑介の挑戦を受けV4戦に臨む上野。2・28後楽園決戦でタッグマッチとはいえ、岡田の新技トリコロール(持ち技・インターセプト=トップロープを使ったスイングDDT、と思わせてそのまま首固めで丸め込み)に、見事なまでにやられてしまった。
インターセプトなら対応できたが、その上をいく岡田の秘策になす術もなく3カウントを聞くしかなかった。「悔しい」と振り返ったが、そこは前向き男。「手の内をさらけ出させたのだから…次の一手があるかもしれないが、前哨戦としては収穫あり。岡田選手のクセもある程度、つかめた」と、ほくそ笑んだ。
岡田は全日本プロレスから今年、DDTにやってきた。昨年からDDTを戦場とした秋山準を追っての行動だろう。上野も「岡田選手と秋山さんのプロレスへの想いが完全に一致しているとは思わないけど、秋山さんの『本道』を岡田選手が受け継いでいることは間違いない」と捉えている。
大型選手が多かった全日本マットでの動きとは一味違うファイトを、岡田はDDTで披露している。上野も「両団体の違いに、いち早く対応している。やりがいのある相手であることを再認識できた」と、本道仕込みの強さを認めている。
とはいえ、秋山の本道を「よく分からないし、気になることがある」と、上野は珍しく気色ばんだ。秋山はDDTの楽しいプロレスを否定しているわけではないが「強さも必要だろう」と主張している。
一方で、上野は「楽しいプロレスは強い。楽しさと強さは両立する」と力説する。男色ディーノ、アントーニオ本多、平田一喜の楽しさを前面に押し出す3戦士も「皆さん、強い。闘いもある」と断言する。強いから楽しくファイトできる。DDTのプロレスは、まるでぶれていないのだ。
ヘッドコーチに就任した秋山の指導を上野も受けている。「本道をすべて教えてほしい。でも、全部を受け入れることはないと思う」ときっぱり。本道の強さはもちろん承知しているが、取捨選択。上野の思い描くプロレスにプラスとなると感じたものを、ありがたく取り入れていく。
DDTに誇りを持つ上野にとって、大きな意味を持つ大会も決まった。DDT、ノア、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスが、合同開催する「CyberFight Festivel 2021」(6月6日、さいたまスーパーアリーナ)である。ノア勢らと同じリングに一堂に会するのだ。
「僕が目立ってやる」と上野の狙いははっきりしている。ユニバーサル王者として参戦するのはもちろんだが、それまでにベルトの価値を高め「上野勇希」の名前を大きくしておきたいところ。
まずは岡田とのV4戦で、勢いに乗る若者同士、全速力で走り抜ける攻防の末、きっちりと防衛する。その後も向上心でギラつく挑戦者たちを迎撃して、1人ひとり倒していく。
「僕の道は楽しい道」という上野。ベルトを輝かせ、名を上げて、楽しい道が本道に負けない強さを持っていることを、証明していく。3・14決戦は、その道しるべだ。