【プロレスこの一年 ♯35】大揺れの新日本 長州離脱で全日本登場、タイガーがUWFで復帰 1984年のプロレス

若松市政率いるストロング・マシンが参戦

 主力選手の離脱に見舞われた新日本では、8月24日後楽園、若松市政が謎のマスクマンを帯同し乱入した。ストロング・マシンと呼ばれる正体不明のマスクマンは、新日本へ強引に参戦。9・7福岡では猪木とシングルマッチで対戦し、若松率いるマシン軍団との抗争がスタートする。

 木戸修も参戦表明したUWF9・11後楽園では「実力ナンバーワン決定戦」が行われ、タイガーが前田に勝利、格闘プロレスの確立に向け、改めて大きな一歩を踏み出した。

 混迷の新日本では猪木が5年ぶりの異種格闘技戦をアノアロ・アティサノエ相手に敢行も、起爆剤にはならず。翌日には新日興行が長州、浜口、谷津嘉章、小林邦昭、寺西勇の獲得を発表。後日にはさらにキラー・カーンをはじめとする7選手が新日本から新日本興行へ移籍した。団体化した新日興行は10月9日、名称をジャパンプロレスへと変更し、12月4日、高松にて事実上の旗揚げ戦を開催するとともに、全日本マットにジャパンの選手を送り込む。

 全日本は11月14日に新日本のタッグリーグ戦をキャンセルしたキッド&スミスの移籍を発表、キッド&スミス組には「84世界最強タッグ決定リーグ戦」へのエントリーがアナウンスされた。このシリーズから全日本マットに新日本離脱の選手が大挙登場。UWFを去ったラッシャー木村は馬場とのコンビを結成するも、12・8名古屋で空中分解。剛竜馬、鶴見五郎ら元国際プロレス勢による国際血盟軍結成へと動くことになる。同大会には長州らジャパン軍がリングジャックを敢行。最強タッグは、12・12横浜でスタン・ハンセン&ブルーザー・ブロディ組を破った鶴田&天龍組が優勝。この日が、長州の全日本初参戦にもなった。

 大量離脱に見舞われた新日本の「MSGタッグリーグ戦」では、猪木&藤波組がディック・マードック&アドリアン・アドニス組を破って優勝。キッド離脱で空位のWWFジュニア王座は、コブラとブラック・タイガーがニューヨークMSGで王座決定戦。コブラが勝利し、藤波、タイガーも上がった檜舞台でベルトを巻いた。

 女子プロレスでは、長与千種&ライオネ飛鳥のクラッシュ・ギャルズが「炎の聖書(バイブル)」をリリースし歌手デビュー。8・25後楽園でジャンボ堀&大森ゆかり組を破りWWWA世界タッグ王座を奪取、空前のクラッシュブームがスタートしたのも、84年の出来事だった。(文中敬称略)

次のページへ (4/4) タッグを組んだ猪木とホーガン
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