東大の象徴、赤門が閉鎖 コロナ禍で苦しむ学生に打撃「東大に入った気にならない」

国内最難関の国立大学として知られる東京大学(東京・文京区)が、大学の象徴である「赤門」を閉鎖した。

東大の象徴、赤門が閉鎖された【写真:ENCOUNT編集部】
東大の象徴、赤門が閉鎖された【写真:ENCOUNT編集部】

耐震専門診断のため通行禁止措置 「修復に2、3年かかる可能性も」

 国内最難関の国立大学として知られる東京大学(東京・文京区)が、大学の象徴である「赤門」を閉鎖した。

 東大施設部保全課によると、「赤門」の耐震基礎診断を複数の仮定に基づき実施した結果、一部で耐震性能の低下が判明。さらに詳細な診断を行うため赤門の通行を禁止・閉鎖する措置が12日から実施されている。

 東大本郷キャンパス周辺には「赤門そば」「赤門餃子軒」「本郷赤門前鍼灸院整骨院」「東大赤門前スドウ写真スタジオ」のほか、販売する菓子に登録商標として「赤門」の2文字を取り入れる菓子店もあるなど、「赤門」は地域文化として根付いている。コロナ以前は大勢の中国人観光客がバスで訪れ、「赤門」を背に記念撮影をする光景も日常的だった。「赤門」はアジアの観光名所の1つとなっていたのだ。その「赤門」の閉鎖に学生からは「赤門が“開かずの門(アカモン)”になってしまった」と落胆する声が上がっている。

「赤門」は西暦1827(文政10)年に加賀藩13代藩主の前田斉泰に嫁いだ11代将軍徳川家斉の娘・溶姫のために建てられた朱塗りの御守殿門で、国指定重要文化財にもなっている。東大構内に常駐している大学関係者は「赤門は東大の象徴。赤門をくぐらないと東大に入った気がしないでしょうね」と学生を気の毒がり、「修復に1~2年、長ければ3年かかると聞いています。今年の東大合格者もさぞがっかりでしょう」と表情を曇らせた。

 現在、「赤門」をくぐって構内に入るためにはネットの健康管理報告ファームに体温や体調を入力して【入構可】のメールをもらい、それを守衛にスマホで示すことでやっと通行許可となる。

 本郷キャンパスを拠点としている学生はこう明かす。「今年度は授業がすべてオンラインになったため、学校に行く必要はなかったのですが、それでも何度もキャンパスに出かけました。赤門をくぐり、総合図書館前の噴水の水しぶきの音に癒され、銀杏並木を歩いて壮観な安田講堂を仰ぎ見る。そして講堂地下にある中央食堂の名物メニューである激辛の『赤門ラーメン』を食べると、東大に来てよかった!という喜びがわいて来るんです」。

 そしてこう続けた。「“赤門をくぐる”こと自体が東大生のアイデンティティーの確認になっている。ただでさえコロナで構内が閑散としているのに、赤門まで閉鎖だなんて…。やるせないです」。

「赤門」閉鎖の代替措置として約70メートル南に位置する伊藤国際学術研究センター門や約270メートル北の正門からの入構が指示されているが、ある大学院生は「地下鉄の本郷三丁目駅から東大に来る学生のほとんどは近道となる伊藤国際学術研究センター門を利用することになると思いますが、どこかショボくて東大に来た感じがしませんね。コロナでキャンパスライフを謳歌(おうか)できない学部生にとって赤門閉鎖は追い打ちにも近い。彼らのモチベーションがさらに下がりそうで心配です」と語った。

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