【プロレスこの一年 ♯33】「ALL TOGETHER 2」で棚橋&諏訪魔&森嶋の豪華トリオ、レインメーカーの登場…12年のプロレス
初代タイガーマスクと大仁田厚が初対決
前年、団体管理の全王座が他団体流出という非常事態に見舞われた全日本だが、徐々に体制を整えていく。まずは3・20両国でメキシコAAAのダーク・クエルボ&ダーク・オズ組を破った“GET WILD”大森&征矢学組が世界タッグ王座を団体に取り戻した。5・27後楽園では、KAIがケニー・オメガから世界ジュニア王座を奪取。アジアタッグ王座は7・1両国、曙&浜亮太組が大日本の関本大介&岡林裕二組から日本最古のタイトルを奪ってみせた。
さらに、8・26大田区総合体育館こけら落とし興行では船木誠勝が秋山を破り、3冠王座を初戴冠。9・23横浜で諏訪魔から防衛を果たすと、全日本のエースとしてやっていくことを宣言した。
この年の3月14日、独自の発想で話題を振りまいていたTAJIRIプロデュースのSMASHが新宿大会を最後に解散。およそ2年間の活動にピリオドを打った。が、TAJIRIは4月5日に元SMASHの選手たちを引き連れ新団体WNC(レスリングニュークラシック)の旗揚げを発表。4・26新宿でのプレ旗揚げを経て、5・24後楽園で旗揚げ戦を開催した。大会ではデーブ・フィンレーがAKIRAを破り、TAJIRIはマイキー・ウィップレックとのECWタッグを結成、邪道&外道組から白星をゲットした。
また、大仁田厚の狂い咲きが目立ったのも12年の特徴だ。80年代前半のタイガー・ブーム時代、対戦が取りざたされるも実現ならなかった初代タイガーマスクと大仁田の一騎打ちが30年越しでついに実現。リアルジャパン3・16後楽園で初対戦し、大仁田興行5・11新宿で再遭遇、そしてリアルジャパン6・20後楽園で待望のシングルマッチが行われ、大仁田の持ち込んだ有刺鉄線バットを利用したタイガーが勝利した。大仁田はタイガー以外にもさまざまなところにアンテナを張り巡らし、横浜大花火8・26で曙を電流爆破デスマッチに引っ張り出すことに成功。さらにはノアマットにも出現した。
そのノアは7月22日に初の両国国技館大会を開催した。メインでは森嶋が潮崎を破りGHCヘビー級王座防衛。丸藤が、7か月ぶりに復帰のKENTAをタイガー・フロウジョンで破った。KENTAは11・23後楽園で杉浦貴との決勝戦を制し、グローバルリーグ戦初優勝、完全復活を遂げることとなる。
しかし、12月9日、2度目の両国で小橋が引退を発表。10日後の19日には秋山、潮崎、金丸義信、鈴木鼓太郎、青木篤志の退団が発表され、方舟マットが大ピンチにさらされた。
この年、DDTが旗揚げから15年で武道館に進出、8月18日に行われた大会では飯伏幸太がケニーを破り、KO-D無差別級王座を防衛。高校2年生の竹下幸之介がエル・ジェネリコを相手に破格のデビュー戦、高い将来性を垣間見せてくれた。(文中敬称略)