フジテレビと英・ストーリーラボ社が戦略的提携 バラエティー番組を世界市場へ
フジテレビジョン(東京・台場)は9日、英番組制作配給会社であるThe Story Lab(ロンドン、以下「ストーリーラボ」)と、バラエティー番組のフォーマットを共同で開発・制作し世界のコンテンツ市場に継続的に提供していく戦略的提携契約を結ぶことで合意したと発表した。
「料理の鉄人」「脳カベ」が世界でリメーク、海外で人気
フジテレビジョン(東京・台場)は9日、英番組制作配給会社であるThe Story Lab(ロンドン、以下「ストーリーラボ」)と、バラエティー番組のフォーマットを共同で開発・制作し世界のコンテンツ市場に継続的に提供していく戦略的提携契約を結ぶことで合意したと発表した。
フジのバラエティー番組のフォーマットは、これまでに「料理の鉄人」が世界8か国、「とんねるずのみなさんのおかげでした」の企画「脳カベ」が世界50か国以上でリメークされるなど海外で人気を博してきた。今回のストーリーラボとの戦略的提携で、同局は「さらなる発展及び世界市場の開拓を目指す」としている。
ストーリーラボは世界各地に23の支店を持っており、世界中から番組フォーマットを購入し、英国だけにとどまらず世界各国で番組を制作するほか、番組フォーマットの販売も展開しており、それぞれの国にあった番組のカスタマイズにおいて多くのノウハウを持っているという。
両社は、それぞれの強みを生かして強力な番組を共同開発するために、日英双方のクリエーターが定期的に企画開発会議を行い、新たな番組フォーマットを開発する。開発されたフォーマットの番組をフジテレビが制作し、その第1弾を3月末に放送予定。
一方、ストーリーラボは、同社が持つネットワークを通じて、第1弾の番組とそのフォーマットを世界中の放送局、配信会社や制作会社に販売していく。
同局第二制作室の松本祐紀プロデューサーは「コンテンツのあり方が激変している昨今、地上波だけを考える時代はハッキリ末期を迎えていると言える中で、フジテレビの持つコンテンツ力をどのようにして波及していくかがとても重要です。日本のバラエティー番組は世界の中でもトップレベルに面白いです。しかし国内のみに向いたとてもドメスティックなものとも感じます。この激変期にこそ、とても大きなマーケットである海外に目を向ける必要があると思います」と提携の狙いを説明した。
さらに、「フジテレビは過去に『料理の鉄人』などが海外でヒットしたこともありましたが、韓国発の『The Masked Singer』はそれこそ世界規模での大ヒットです。正直負けてられません。しかし、我々はドメスティックな目線しか持っていないことも確かで、ストーリーラボさんが持つグローバルな感覚を足すことで、これまでとは違った世界に通用するコンテンツを生み出したい」と意欲を語った。
同局コンテンツ事業室の小宮隆司海外担当プロデューサーも「日本の視聴者にとっては当たり前な演出が、海外の視聴者にとっては珍しかったり、逆に我々が海外でもヒットするのではないかと思った演出が、そうではなかったり、海外に通用するフォーマット開発は我々の課題でもありました。今回ストーリーラボと組むことで、フジテレビのクリエイティビティーをストーリーラボが持つグローバルなノウハウと融合することにより、今までフジテレビだけでは考えられなかった作品・番組が作れるのではないかと期待しています。そして、今回のストーリーラボとの業務提携を皮切りに、フジテレビは海外展開の一層の強化を図り、新しいビジネスチャンスを開拓してまいります」と話している。
ストーリーラボ エンターテインメント部門上級副社長(Executive Vice President)のフォティニ・パラスカキス(Fotini・Paraskakis)氏は「このたび、これまで多くの斬新な番組を制作してきたフジテレビと提携して、世界中の視聴者をターゲットにするバラエティー番組を共同で開発することになり、大変うれしく思っています。今回の提携で開発した番組フォーマットは、ストーリーラボが展開するグローバルネットワークを通じて、成長を続ける世界のエンタメ市場のニーズに応えることができると確信しています」と期待を寄せた。
同社の代表作品は以下の通り。
・リアリティー番組「Game of Clones」(英など9か国で放送/配信)
・料理番組「All Together at the Table」(仏など2か国で放送)
・運転教習バラエティー「All Star Driving School」(英など4か国で放送/配信)
・映画「The Coldest Game」(Netflixで世界配信)
※そのほかドラマ、ドキュメンタリー、ポッドキャストなど数多くの作品を手掛けている。