韓国でアニメ「鬼滅の刃」が大ヒット 評点「9.6」 観客は20代が半数「最後の10分が最高」

アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が韓国で公開され2週間がたった。同作は公開日の1月27日に全体ボックスオフィス1位を獲得。現地最大手ポータルサイト「NABER」の「映画」コーナーによると、7日基準で観客動員数は44万人を超えるなど快速走行が続いている。男女別でみると、男性60%、女性40%。世代別では20代が51%と圧倒的に多く、次いで30代が20%、40代が14%となっており、サイト内で同作は「この映画は20代の男性が好む演出が優れた映画です」と紹介されている。

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は韓国でも注目を集めている(写真はイメージ)【写真:写真AC】
「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は韓国でも注目を集めている(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ディズニー&ピクサーの「ソウル」と「鬼滅の刃」に人気集中 韓国映画界

 アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が韓国で公開され2週間がたった。同作は公開日の1月27日に全体ボックスオフィス1位を獲得。現地最大手ポータルサイト「NABER」の「映画」コーナーによると、7日基準で観客動員数は44万人を超えるなど快速走行が続いている。男女別でみると、男性60%、女性40%。世代別では20代が51%と圧倒的に多く、次いで30代が20%、40代が14%となっており、サイト内で同作は「この映画は20代の男性が好む演出が優れた映画です」と紹介されている。

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 1月20日に公開されたディズニー&ピクサーのアニメ映画「ソウル」(原題「Soul」、邦題「ソウルフル・ワールド」)が同じく7日基準で120万人を突破しており、現時点では3位を大きく引き離して「ソウル」と「鬼滅の刃」の両アニメ作品に人気が集中している状態だ。

 同作を観覧した客の平均評点は10点中9.6。10点を付けた観客は「アクションストーリーがとてもしっかりしていて面白い。イチオシ」、「最後の10分が本当に最高だった」、「劇場で見てよかったと思えるほどダイナミックな演出と繊細な表現」、「すべてが最高。映画館に行くときはティッシュかハンカチ持参で。私はすごく泣いた」などと満足度が高く、韓国人の涙腺も刺激しているようだ。

 低い評価をした観客は「長台詞で間延びしている」「2時間は退屈だ」などと117分という映画の長さを問題にする声や「評価ポイントを参考に見に行ったわりには退屈で途中で寝てしまった」「子どもには見せてはいけない。極めて残忍」といった書き込みも見られる。

 韓国の百科事典サイト「ナムウィキ」で「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の評判を調べると「ストーリー」という項目に分析がある。好き嫌いが分かれるポイントについては「メロドラマ的な演出がすごく強いという点が挙げられる。見て泣いたと高評価した人たちも多いし、分かり切った演出が苦手な人たちも多い」と大まかに説明。

 さらに、「炭治郎が夢の中で家族たちに会って大泣きする場面が登場したとき、なぜあのように泣きさけぶのか理解できないという観客の反応があったが、それは炭治郎の家族が皆殺しにされたシーンが視覚的には映画の中盤から登場したからである。原作のストーリー展開上はその通りなのだろうが、家族が死んだことを映画の序盤に炭治郎の口を借りて観客に事前に伝えてほしいという惜しさがある」と求めた。

 意外だったのは字幕に対する不満だ。「(十二鬼月の)上弦と下弦を証明する目の標識がクローズアップされるとき字幕に何の案内もなかったのは残念な点」と指摘している。外国映画を公開する際、苦労するのは字幕の翻訳だ。ごく短時間にせりふや場面の意味を簡潔に伝える必要があり、制作側は観客に伝えたい情報の取捨選択を迫られる。今回のケースでもそれが見られたということのようだ。

 一方、韓国の放送局SBSは社内ジャーナリスト、プロデューサーが執筆を担当している7日配信のコラム「in-it」で「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」を取り上げている。このコラムの筆者はまず同作を観劇した理由について「私が好きな日本の作品である宮崎駿の『千と千尋の行方不明』(韓国版タイトルの直訳)を払いのけ19年ぶりに歴代興行1位を記録した知らせを聞いて、いったいどんな映画なんだろうと好奇心がわいた」と説明。能力主義と成果主義が現代社会の支配的システムであるとして批判的に論じながら、重要な登場人物である煉獄杏寿郎の“能力”の使い道に関心を寄せている。

 杏寿郎が幼いころ母親から「お前は強く生まれた。強く生まれた者は弱い者を助けるという意味を持っている」と言われるシーンと杏寿郎の死を振り返り、「少年漫画に出てくるほどのありふれた台詞がいつもと違って聞こえた」とつづっている。

 昨年2月に第92回米アカデミー賞を受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)でも描かれた韓国型超学歴主義と格差社会に対する問題提起として「鬼滅」を取り上げているところが独自の“切り口”と言えそうだ。「鬼滅」の進撃が続けば日本人ファンにとっても興味深い考察が今後も続々と発表されることだろう。

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