24歳大学生の姿も…池袋で見た路上生活者の実態「コロナが収まればおしまいじゃない」
新型コロナはきっかけに過ぎず、もともとあった貧困問題が表面化した
弁当を配り終えると、今度は池袋駅の構内へ。1人ひとりの“定位置”を巡って回り、おにぎりやパンを差し入れたり、軽い世間話をかわす。弁当の列から流れてきて、2度目の食糧を求める人。話だけして、施しは一切受けない人。生活保護を受けない理由も人それぞれだと清野代表は言う。
「多いのは扶養紹介で家族や親族に連絡が行くのを嫌う人。なけなしの現金を取られるのが嫌だという人もいる。他人様のやっかいになるなら路上の方がマシだという誇り高いタイプもいれば、もうこの生活に慣れちゃったからと諦めている人もいる。あとは精神疾患があって手続きができなかったり……。最近は生活保護のハードルもだいぶ下がって、宿泊所も個室化したりと環境はだいぶ改善していますが……。感受性が高すぎたり、真面目すぎたり、意外と不器用な人も多いんです」
午後11時、この日の夜回りが終了。手分けして尋ねた困窮者の近況や、新規の困窮者の特徴を報告し合い、解散となった。今回、新型コロナは“引き金”になったに過ぎず、あくまで大半はもともとあった貧困問題が表面化しただけだと清野代表は言う。
「マスコミの方は、ごく普通の人がコロナで転落する分かりやすいストーリーを求めがち。私も貧困について報じてほしいのでつい忖度してきましたが、実際コロナはきっかけに過ぎないんです。われわれを頼ってくるのは、失業しても家族や親族の支援を受けられない人たち。大卒の方なんてまず、いませんよ。児童養護施設出身者、精神疾患のある方、携帯電話と身分証がないと人間扱いされない、そんな方たち。コロナが収束すればおしまいなんて、そんな簡単な話ではないんです」
今回、新型コロナであぶり出された生活困窮者の実態。これを機に、“臭い物にふた”でない、抜本的な解決策が求められる。