コロナを機に54歳で一流企業管理職から俳優へ 「若いADに怒鳴られても全然平気」なワケ

身長183センチで見栄えがする【写真:ENCOUNT編集部】
身長183センチで見栄えがする【写真:ENCOUNT編集部】

気になる家族の反応は?

 女優をしている幼なじみに相談し、インターネットで芸能事務所の「ミドルタレント募集」に応募しました。すると、まったく芝居の経験はないのに合格。それで「やってみよう!」と決心しました。今は演技のレッスンとボイストレーニングをそれぞれ週1回、朝はヨガや筋トレ、自宅にDIYで自作した防音室で演技などで自分でレッスンをしています。週2回キックボクシングで体づくりに励み、週2、3日、エキストラとして現場へも出ています。交通費と弁当と、ほんのお小遣い程度のギャラが出るだけですけどね(笑)。

 嫁は専業主婦なので、わが家は今、収入がほとんどなくなり、退職金を食いつぶしている状況です。それでも、嫁は「やりたいようにやれば」と言ってくれています。家のローンを払い終えたことと、去年、息子が独立したので、「何とかなるだろう」と思っているのでしょう。ありがたいことに、彼女はお金に細かいタイプではなく、ぜいたくをしたいタイプでもないんです。僕の目立ちたがり屋の性格を知る息子は、面白がっていますね。母は私が幼い頃、子役に反対したことを覚えていて、今はすごく応援してくれています。

 西田敏行さんや中井貴一さん、故・松田優作さんに憧れますが、私は大化けをして主役に、というのではなく、目指すは名バイプレーヤー。後悔がないようにやりたい、というだけです。身体を張る役や、パンツを被るような恥ずかしい役だってOKですよ! エキストラをしていると若いADに怒鳴られることもありますが、全然平気。これぐらい、サラリーマン時代の大変さと比べたら、何てことはありません。サラリーマンとして30年、荒波にもまれてきたので、それなりにタフだという自信はあります(笑)。俳優は不安定な仕事と聞きますが、定年のない仕事ですからね。健康に気を付けながら、どんな小さな役でもいいので、長く続けられたらいいな、と思っています。

□山田直樹(やまだ・なおき)1965年12月14日、川崎市生まれ。89年、立教大学法学部卒業後、「キリンビール」子会社の洋酒メーカー「キリン・シーグラム」就職。2001年、「キリンビール」と「キリン・シーグラム」営業部門統合で「キリンビール」へ。43歳で管理職に。20年9月退職。芸能事務所「キャストパワーネクスト」所属。

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