【プロレスこの一年♯32】「1,2,3,ダー!!」の原点、新日本が全日本の協力で東京ドームに6万人以上を動員 90年のプロレス
大仁田厚とターザン後藤が史上初のノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチ
馬場と同日デビューの猪木は、新日本9・30横浜アリーナで「猪木30周年メモリアル・フェスティバル」を大々的に開催。ジョニー・バレンタイン、ビル・ロビンソン、ジョニー・パワーズ、ルー・テーズ、アンドレ、ハンセンをはじめ往年のライバルたちがセレモニーに登場した。試合では猪木がタイガー・ジェット・シンと組んでベイダー&アニマル浜口組から勝利を収めた。
SWSでは旗揚げ前の8月30日、部屋制度の導入を発表した。天龍の「レボリューション」、高野の「パライストラ」、若松市政の「道場・檄」が発足、部屋別対抗戦の形で試合が行われることが明らかになった。SWSは9月30日、福井でのプレビューイベントを経て10・18&19横浜アリーナ2連戦で正式に旗揚げ。初日には部屋別対抗タッグ・トーナメントが開催され、ジョージ&俊二の高野兄弟が天龍&ザ・グレート・カブキ組を破り、「パライストラ」が優勝。2日目のメインでは天龍がジョージを破り、前日の雪辱を果たした。
SWSでは7月に新日本を追放となった北尾を招き、12月7日の大阪で天龍とのシングルが実現。SWSVSWWF対抗トーナメントで、天龍はテッド・デビアス、北尾を破り、優勝を飾ってみせた。
この年の3月にはルチャリブレを本場メキシコから直輸入するユニバーサル・レスリング連盟が発足。3・1後楽園で旗揚げ戦が行われ、単身メキシコへ渡り現地でデビューした浅井嘉浩が凱旋帰国。場外へのムーンサルトアタックとなるラ・ケブラーダを公開し、ファンの度肝を抜いた。
FMWでは大仁田厚とターザン後藤が6月24日、東京・夢の島でのノーピープルマッチで両者KO。遺恨は史上初のノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチに発展し、8月4日の汐留にて前代未聞の試合が屋外にて実現。大仁田が後藤を“爆破”し、「涙のカリスマ」の異名を取ることとなる。
独自路線から多くの信者を得たFMWは、10・26美濃にて日本初となる男女混合タッグマッチを実現させた。試合は後藤&デスピナ・マンタガスの夫婦タッグがリッキー・フジ&工藤めぐみ組に勝利。11・5駒沢は「1周年記念興行」で、大仁田がテキサス・デスマッチでミスター・ポーゴに勝利。工藤VS天田麗文のストリートファイト担架マッチは工藤が勝利、敗れた天田は後日、引退を表明した。
UWFでは5・4武道館で前田日明VS船木誠勝と高田延彦VS鈴木みのるの初対決が実現。前田、高田が勝利した。が、神新二社長が船木、鈴木とともにSWSに移籍するとの噂が立ち、UWFに不協和音が鳴り始める。10・25大阪では前田がフロントを批判。12・1松本では船木が前田をリングに呼び込み選手たちが団結をアピール。7日に神社長が選手の契約を解除すると、10日に選手会が新会社の設立を発表。翌年1月7日に前田が解散を宣言、UWFは2年7か月でピリオドを打つこととなり、翌年、三派に分裂する…。(文中敬称略)