医師が語る医療崩壊の実態 都内で倒れて埼玉に搬送…コロナ陰性でも“たらい回し”

国会での審議が続く感染症法改正案。新法案では新型コロナウイルス感染者の病床確保に向け、国や都道府県知事が医療機関に患者受け入れを勧告、正当な理由なく従わない場合は医療機関名を公表する方針で調整を進めている。年明けから医療崩壊の可能性がたびたびさけばれているが、今、医療現場ではどのような事態が起こっているのか。

感染症法改正案をめぐる議論は大きな注目を集めている(写真はイメージ)【写真:写真AC】
感染症法改正案をめぐる議論は大きな注目を集めている(写真はイメージ)【写真:写真AC】

感染症法改正案では勧告に従わない病院を公表する方針で調整を進めている

 国会での審議が続く感染症法改正案。新法案では新型コロナウイルス感染者の病床確保に向け、国や都道府県知事が医療機関に患者受け入れを勧告、正当な理由なく従わない場合は医療機関名を公表する方針で調整を進めている。年明けから医療崩壊の可能性がたびたびさけばれているが、今、医療現場ではどのような事態が起こっているのか。

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「つい先日のことです。貧血で倒れたという都内の女性に発熱症状があり、抗原検査では陰性だったにも関わらず、どこの病院でも受け入れを拒否され、埼玉のうちのところまで搬送されてきた。救急車でも1時間以上かかる道のり。今、都内で倒れて、わずかでもコロナが疑われたら、たとえ陰性であっても治療が受けられない可能性もあります」

 埼玉県のある大病院の医師はこういって声を潜める。福岡の病院でコロナ患者の治療にあたるある医師は「福岡でも救急車のたらい回しはすでに起こっている。それなのに、コロナ患者の受け入れをしていない個人診療所のなかには、外来患者が減り経営難に陥っているところもある。そういう民間病院にもっと患者を回すべきですが、病院名の公表はやりすぎというか、効果があるのか疑問です」と口にする。

 冒頭の医師が言う。「私の父は開業医なんですが、やはりコロナ患者の受け入れにはリスクの方が大きいと言います。民間の病院では設備も不十分ですし、何よりも一番問題なのが風評被害。コロナは金にならないなんて言われてますが、地方ではコロナ患者を受け入れることで、かかりつけの患者が寄り付かなくなってしまう。クラスターなんて発生した日には信用問題。院をたたまなければならなくなりますし、いくら補償を積まれても、できればやりたくないというのが本音のようです」。むしろ病院名を公表されたほうが、かえって外来患者が安心していいくらいだとの向きもあるという。

 目に見えぬウイルスの脅威と人々の恐怖心が、嘆かわしい分断を生みつつある。

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