WWEで活躍するKUSHIDAの“ルーツ”となったアルバイト時代「度胸がつきました」
米WWEのNXTで旋風を巻き起こしているKUSHIDAが、NXT北米王者ジョニー・ガルガノを襲撃。王座挑戦を表明した。
すべては「プロレスラーへの道」だった
米WWEのNXTで旋風を巻き起こしているKUSHIDAが、NXT北米王者ジョニー・ガルガノを襲撃。王座挑戦を表明した。
日本時間15日、WWEネットワークで配信された大会で、ガルガノ(with オースティン・セオリー)は、得意のイラストで挑発するデクスター・ルミスとノンタイトル戦で対戦。両者白熱の攻防を展開した。
ガルガノはルミスのサイレンスに捕まりピンチに陥ったが、セコンドのセオリーの介入で何とかピンチを脱出。スクールボーイでルミスを丸め込んで勝利を収めた。納得いかないルミスがセオリーに襲い掛かる。ガルガノはパイプいすを持ち出したが、そこにKUSHIDAが登場。まずはセオリーにマサヒロ・タナカを叩き込み、ガルガノには飛び付きホバーボードロックをさく裂した。
「次の挑戦者はこの俺だ」と仁王立ちのKUSHIDA。次週、日本時間22日に配信されるダスティ・ローズタッグチームクラシック1回戦で、KUSHIDAはレオン・ラフと組み、ガルガノ、セオリー組と激突する。
タッグ戦とはいえ、王者・ガルガノをとことん痛めつければ、タイトル戦に王手をかけられる。KUSHIDAにとって、正念場の大一番になりそうだ。
世界のひのき舞台で大暴れするKUSHIDAの勇姿に、スポーツ新聞社でバイトをしながら、夢を語っていた若かりし頃の彼の姿が浮かんでくる。
「坊や」と呼ばれ、コピー取りやお茶くみなどの雑用から、「街頭淫タビュー」の取材をするなど、一生懸命いろいろと頑張っていた。真面目で時間には正確、好青年だった。正社員を目指して、入社試験も受けた。彼の答案用紙を採点したが、なかなか優秀だった。見事に合格し、内定を得た彼に「自分の試合の記事を自分で書く」世界初であろう“闘う新聞記者”になることを勧めた。
迷っていたが、最終的に彼はプロレスの道を選択した。少年時代からの夢だったプロレスラーに専念することにしたのだ。今にして思うと、新聞社でのバイトもマット界の情報を収集するためだったのかも知れない。「街頭淫タビュー」の取材も「人前での恥ずかしさを克服するいい経験になった。度胸がつきました」と振り返っていた。すべては「プロレスラーへの道」だったのだろう。
ハッスル、スマッシュなどいくつかの団体で活躍し、2011年には新日本プロレスに入団。IWGPジュニア王座に就くなど大活躍し、19年にWWEに参戦。世界最大の団体にまで上り詰めた。
以前、KUSHIDAに「アレナメヒコで練習したいのだが、ツテがない。誰か紹介してほしい」と頼まれ、メキシコ在住の知り合いを紹介したことがある。うまく話がまとまり、それがキッカケとなってKUSHIDAはメキシコで成功した。
若い頃や苦労した時代のことは忘れてしまう、あるいは忘れたいことも多いが、KUSHIDAはスター選手になっても「現在、プロレスラーであるのも柴田さんのおかげ」などと言ってくれた。何ともうれしい限り。優しい人柄や控えめにニコニコする顔はあの時のままだ。
「坊や」はいつの間にか大きくなった。気が付けば37歳。プロレスラーとして1番、脂が乗るといわれる年代に入った。世界の大舞台WWEでのさらなる大活躍を楽しみにしている。