「カツベン!」主人公・成田凌は“チャップリン”「よくぞ、ここまでやってくれた」
「永瀬正敏さんの役が1人で映画史を背負っている感じ」
片岡「(主人公が憧れる弁士)永瀬さんの役は前半が七色の声を持っていた土屋松涛、後半は(戦前戦後に、映画の弁士・ラジオやテレビの司会者・俳優・作家として活躍した)徳川夢声が一部モデルになっている。永瀬さんの役が1人で映画史を背負っている感じでしたね」
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坂本「大衆性とインテリジェンスを兼ねている役で、物語上の時間の経過もあって難しい役でした。稽古期間が短いかったのに、よくやってくださった」
片岡「みなさん、売れっ子なので、スケジュールが重なっていて、大変でしたね。高良さんは主演時代劇『多十郎殉愛記』のプレミア上映の挨拶をした帰りの新幹線から、スイッチが入ったとおっしゃっていました。驚くほど、飲み込みが早かったですね」
坂本「オールスター映画ですけど、脇役が非常にイキイキしているのも周防監督ならでは。徳井優さんら楽士たちも見事に三人三様でした」
片岡「脇役が輝くことによって主役が輝く。そこが周防作品ですね。主役だけを追っていて、“この人スターですよ”ではなく、脇役の活躍で成田さんが主役として輝きを増すっていうのがすごく感じました。当時の弁士たちが多彩だったことが自然に出ている」
坂本「汗っかきの弁士役の森田甘路さんも自然な存在感でしたね。ああいう弁士は大正時代に500人ぐらいいたと思います」
片岡「監督から、『無声映画時代のエピソードで何か面白いものはありませんか』と聞かれて、『暑がりの弁士がテーブルの影で下半身を脱いで、氷水に足を突っ込んでいたというのがありますよ』と言ったのですが、監督は、見えないところでは面白くないから、全部脱いじゃうという誇張した演出にした。実際のエピソードも巧みに取り込んでいる」
坂本「周防組は基本的に和やかで、よかった。怒号が飛び交うことはなかった。黒澤明監督みたいな現場だったら、大変だったかもしれない(笑)」
片岡「ただ監督独特の厳しさは感じました。でも、妥協しないっていうのとは、また違うんです。本当にいいと思ったときと、妥協ラインかなというときは違う感じがしました」
坂本「成田さんのようなハンサムな活動弁士が出てくると、活弁の世界も変わるなと思いますね。今は一人もいないですから」
片岡「これからは、弟子を顔で取るっていうのはどう?(笑)」
坂本「あはは。こないだ、島根の小学5年生が活動弁士になりたいと言っていた。だから、『この映画を100回は観ないとダメだ』と言いました。今も個性的な人ばかりだけど、もっといろんなタイプの人が入ってこないとダメですね」
坂本「(活動弁士界が)もっともっと絢爛になってほしいですね。落語の世界が豊穣なのは、本格派もいれば、爆笑派もいて、古典に新作もあるから。笑点の師匠方も、それぞれタイプが違うわけじゃないですか」