美人プロゴルファー・木戸愛の父・修氏は悠々自適の「レジェンドレスラー」【連載vol.24】
今や女子プロゴルファー木戸愛の父として知られる「レジェンド」木戸修氏。関東地区でトーナメントが開催となれば、車での送迎など愛娘のサポートを務めている。
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今や女子プロゴルファー木戸愛の父として知られる「レジェンド」木戸修氏。関東地区でトーナメントが開催となれば、車での送迎など愛娘のサポートを務めている。
木戸氏は「プロレスの神様」カール・ゴッチさんに「マイ・サン(私の息子)」と呼ばれた。「いろいろな選手を教えたが、木戸が一番、素直でひたむきだった。私は厳しく指導したからすぐ逃げた人や反発した人もいるが、レスリングに関して木戸は私に決して口答えしなかった。寡黙だし口はうまくないが、そこがまた信用できた。自分には娘しかいない。だからマイ・サンと呼んだ」と、晩年のゴッチ氏はしみじみ振り返っていた。
ゴッチ氏の薫陶を受けた木戸氏の関節技の切れ味はピカイチ。日本プロレス、新日本プロレス、UWFで「いぶし銀」の活躍を披露し、ファンの支持を集めていた。
レスラーとしては、リングからは遠ざかっているが、コンディションは上々。自宅にはトレーニング器具がそろい、新日本プロレス道場でおなじみのコシティも完備。近くの公園でランニングもしており、いまも変わらぬ練習メニューを続けている。「声がかかれば、いつでもいけるよ」とにっこり。2月2日に71歳の誕生日を迎えるとは、とても思えない。
元より、悠々自適の生活を送っている。瀟洒(しょうしゃ)な家が立ち並ぶ神奈川・横須賀市の新興住宅街の中でも、太平洋を見渡せる高台のベストポジションを占める、ひときわ大きな家に住んでいる。トレーニング場を兼ねたサンデッキのロッキングチェアに陣取り、太平洋に沈む太陽を眺めるのが至福の時だという。
時々、兄・時夫さんのことを思い出すそうだ。時夫さんは日本プロレスのプロレスラーだった。練習中の事故で、寝たきりになり亡くなった。プロレスラーはいつケガをするか分からない危険な仕事。兄の痛ましい姿を目の当たりにしている弟・修氏はプロレスラーにありがちな酒や遊びに浪費せず、若いうちからアパートを2軒も建てるなど堅実にやってきた。
真面目、実直、誠実。そんな言葉がよく似合う木戸氏に会うと、いつもアリとキリギリスの話を思い出す。豪邸に高級車……レスラーOBでこれほど、充実したセカンドライフを楽しんでいる人はいないだろう。
非常に繊細な性格で、起床したとき、前夜、枕元にきちんとそろえておいた着替えが少しでも乱れていると、機嫌が悪くなるそうだ。
ファンとの記念写真ではシャッターが押される直前に、目にも止まらぬ速さで「シュッ!」と前髪の乱れを整えていた。理髪店のモデルのように一糸乱れぬヘアスタイル。プロのたしなみとして日焼けした体、ピカピカにお手入れされた靴。黒と白を基調にしたスタイリッシュな服装、セカンドバッグを愛用する紳士。
第二の人生も幸せそのもの。木戸氏は人生の先輩としても理想の1人だ。