STU48今村美月の“自分色”を探す挑戦 演技経験で芽生えた「秀でたもの」へのこだわり
SEPTの舞台「ReAnimation」出演で強まった、演技を“自分の色”にしたい思い
不安を抱き始めていたなかで、前を向くきっかけとなったのが、20年12月に行われたSEPTの舞台「ReAnimation」だった。主要人物のHINA役を務めた際、演出家からかけられた一言が心に染みた。
「成長できてるよ」
今村は「その言葉をいただけたのが、本当にうれしかったです」と語る。
「ReAnimation」の総合演出・脚本を手掛け、「黄経」役を演じた杉浦氏も、前作からの1年間、どのように日々を過ごし、努力してきたかを、再会した今村から感じていた。
「“悩めること”が格段に増えたと感じました。それはまさに、成長したからこそなのかなと。役への思いの強さはそのままに、その人となりや背景、感情の裏側までを掘り下げて考えていける。そして、何より彼女が自分でそのことに気付けた。『FATALISM≠』からつながるHINAという役をより深く愛し、生きてくれて、見違えるほどの成長を見せてくれたと思います」
今回の「ReAnimation」出演で、演技とアイドルとしてのパフォーマンスにおいて、今村なりの“発見”もあったという。
「演出と青井さん役を務めたウチクリ(内倉)さんが、『舞台は全部で1曲。だから、この1曲をみなさんに分かりやすくお届けできるように』と、音楽での表現をされていました。演技をするのとは少し違いますけど、歌とダンスでも表現力は必要なので、“なりきること”は大事だと感じました。STU48としてステージに上がる時、『私たちは日本一のアイドルなんだ』となりきって出たりします。舞台のお芝居と音楽も共通する部分があるのかなと思いました」
日頃から今村を慕うドラフト3期生の信濃宙花は、そんな先輩の背中を見て、「いつかみちゅさんと一緒の舞台に立ちたい」と目標を掲げている。今村も、演技に対する信濃の思いを感じ取っていたと話す。
「宙花ちゃんは、『FATALISM≠』の時に自費で東京まで観に来てくれたんです。私の舞台やいろんな映画・ドラマを見たり、セルアミ公演には出演していなかったけど、リモート稽古のURLを自主的にもらって勉強していて。舞台をやってみたいという思いをそばで感じていたので、SEPTさんには『こういう子もいますよ』と伝えました。私もSEPTさんが大好きで、ほかのメンバーが出るなら本当にやりたいと思っている子に出てほしい。宙花ちゃんはお芝居がうまそうだなと思います」
メンバーと切磋琢磨していくなかで、演技をもっと極め、“自分の色”にしたい――。今村の中で、その思いは日に日に強くなっている。
「歌とダンスはみんなやっているので、お芝居ではほかのメンバーに勝っていきたいという思いはあります。演技力を自分の秀でたものにできるように、もっと成長していきたい。ミュージカルもやってみたいし、ほかにもいろんなジャンルのお芝居をできたらなと」
そんな今村の役者としてのポテンシャルに、杉浦氏は大きな期待を寄せる。
「『ReAnimation』では天真爛漫ながらも人ではない存在であり、真面目で愚直なだけではない、今そこで起きていることへの対応力やライブ力、コメディー要素までを求められる役柄を演じていただきましたが、コメディエンヌとしての素養まであるとはもう脱帽です(笑)。それを培ってきたのは、ご本人の“負けん気”と“努力”という何をするにしても必要な要素があってこそ。『歌って』『踊れて』、そこに『芝居』という新たな魅力を手にした今村さんが今後どんな活躍をしていくのか、挑戦し続けてもらいたいです。そして、またSEPTにも出演してもらえる日を楽しみにしています」
今はまだ発展途上の魅力に自信や確信が加わった時、今村は真の“スーパーアイドル”として一層輝きを増すことになるだろう。
□今村美月(いまむら・みつき)、2000年2月19日生まれ、広島県出身。STU48 1期生。グループの2代目キャプテンを担い、優しさと思いやりでメンバーを支える。中学2年生までモダンバレエ、クラッシックバレエ、現代音楽バレエを習っていた経験あり。最近は焼肉よりも“海鮮料理欲”が強くなっている。座右の銘は「感恩報謝」。ニックネームは「みちゅ」。