人気でも運でもない、完全実力勝負の“ガチ歌バトル”――。「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」は、選抜総選挙（2009～18年）やじゃんけん大会（10～18年）の開催がない今、数少ない48グループ横断イベントにして、数々のドラマとヒロインを生んできた夢の舞台だ。

　20年12月に行われた第3回大会では、STU48の2期研究生・池田裕楽が初出場・初優勝を果たし、鮮烈な新女王誕生劇を演じた。本気のメンバーたちの努力に応えるべく、仕掛け人であるTBSの竹中優介プロデューサーがこだわっているのが生バンドでの演奏だ。

「生バンド演奏は、メンバーの一生懸命さに応える一つの“スイッチ”です。正直に言えば、あのやり方はすごい手間とコストがかかる。音源をかけたほうが楽ですが、こちらも本気の物で迎えてあげたい。バンドメンバーが一番シビアだから、あの空気感が生まれるんです。実は、この企画の心臓部分は生バンド。人間の手による本気の演奏で届けることに、強いこだわりがあります」

　また、決勝大会のファイナリスト8人（第3回大会から審査員特別賞に選ばれた1人が追加）だけが立てるスペシャルステージ「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦 ファイナリストLIVE」は、メンバーたちの熱量を引き出す“ご褒美”の一つになっている。3代目女王の池田は、「ファイナリストLIVEに出場する」という一つの夢を抱き、19年12月に2期研究生としてSTU48に加入。歌一本で見事にその権利を勝ち取った。竹中氏によれば、過去2大会に出演したメンバーからは「アイドルをやっていて一番楽しかった」という声も上がるほど、彼女たちにとっては特別な舞台なのだという。

「ファイナリストLIVEは、歌や音楽が好きなメンバーにとっては夢のような時間。生バンドで自分たちのライブをできることがどれだけ楽しいかみんな分かっていて、1回味わったらまた出たいと思う。出演するメンバーからアンケートを取り、全員と個々に打ち合わせをして内容を検討しますし、真剣に歌う姿は、推しかどうか関係なく見応えがあるはずです。本当はみんなにファイナリストLIVEを体験させてあげたいので、今回くらい接戦になると心苦しいですね（苦笑）」