世界に示した2021年の新日本プロレス オカダ・カズチカと棚橋弘至が最前線へ復活
2021年、新日本プロレスの快進撃が「闘い初め」1・4東京ドーム大会から始まった。
1・4東京ドーム大会で棚橋は全盛期を思い出させるハイフライフロー
2021年、新日本プロレスの快進撃が「闘い初め」1・4東京ドーム大会から始まった。
新型コロナ禍もあって観客動員には制限がかけられたが、会場に駆け付けたファンは拍手を繰り返し、生中継の視聴者は歓声を張り上げていたに違いない。このところ、一部から不評を買っていた乱入、金的攻撃はほとんどなかった。もとより、セコンドをほとんど見かけなかった。
リング上のレスラー、ファイトに集中できる空間は、本当に居心地がいい。勝者が敗者を称える。ゴングが鳴ればノーサイド。もちろん、勝利へのこだわりは大切だが、死力を尽くし合った者同士にしかわからない思いを、ストレートに感じさせてくれた。
しかも、昨年、不振に陥った「レインメーカー」オカダ・カズチカが完全復活を思わせるファイトで、ウィル・オスプレイを退けた。35分を超える激闘の末の勝利にオカダも「俺とオスプレイは今日がスタート。これから、2人ですごい闘いを行っていく」と、手ごたえをつかみ取っていた。
ただし「俺が棚橋弘至を東京ドームで倒すのに、何年かかったと思っているのか」と、オスプレイにトップ戦線にのし上がる厳しさを突き付けることも忘れなかった。オカダが口にした棚橋も、グレート-O-カーンのヒザ攻めに大苦戦しながらも、耐え抜き、全盛期を思い出させるハイフライフローで仕留めた。
昨年の棚橋はコンディション不良に悩まされ「エース」の称号こそ離さなかったが、ベルトとは無縁だった。「今年はついに棚橋時代の終焉が訪れるのか」と、覚悟した棚橋ファンも多かったはず。
折しも、コロナ禍でこれまでの応援も観戦も難しい時代に突入。ファンとの一体感を何よりも大切にする棚橋も、ジレンマに苦しんだはず。「楽しくなってほしい」と、いう棚橋の決意がカーンの勢いにストップをかけたのだろう。
オカダと棚橋。昨年の悔しさをバネにした2人が最前線に帰ってきた。新日本の21年は、新日本本来の魅力を取り戻して、これまで以上に日本のプロレス界を、いや世界のプロレス界をリードしていく。