紅白歌合戦が視聴率40%復活の背景 嵐→「鬼滅」LiSA、視聴者離さぬ“黄金リレー”
昨年大みそかに放送された「第71回NHK紅白歌合戦」が、40%台の大台復活を果たした。第2部(午後9時~)の関東地区の平均世帯視聴率が40.3%だったことが2日、ビデオリサーチの調べで判明。第1部は34.2%と、2019年から0.5ポイント下げたが、第2部は同年に記録したワースト記録37.3%から3.0ポイントもアップした。再び大台に乗った要因を考えてみた。
NHK「新しいスタイルを模索し、その片りんをつかんだのかも」とコメント
昨年大みそかに放送された「第71回NHK紅白歌合戦」が、40%台の大台復活を果たした。第2部(午後9時~)の関東地区の平均世帯視聴率が40.3%だったことが2日、ビデオリサーチの調べで判明。第1部は34.2%と、2019年から0.5ポイント下げたが、第2部は同年に記録したワースト記録37.3%から3.0ポイントもアップした。再び大台に乗った要因を考えてみた。
20年の紅白は新型コロナウイルス感染防止のため、紅白史上、初めて無観客で行われた。ネット上では凝り過ぎた演出は少なくなり、歌の力を感じると評価が高かった。また、例年と比べ、外出を自粛する視聴者が多かった可能性もあり、これが数字に影響したことも考えられる。そんな中、“黄金リレー”とも言えるNHKの仕掛けた流れも効果的だったように感じる。
午後9時からの第2部は注目の初出場アーティスト同士の対決となった紅組のNiziU、ヒット曲「香水」を歌う白組の瑛人からスタートした。その後、Perfumeが続き、“香水リレー”が実現した。
午後9時26分過ぎからは連続テレビ小説「エール」の企画や、どんな出演の仕方をするかが注目された覆面ユニットのGReeeeNの企画「星影のエール 紅白SP」と続いた。GReeeeNはステージに“バーチャルな姿”で登場し「星影のエール 紅白SP」と「キセキ」を歌い、予想通りネット上では、本物か? などと盛り上がった。
続いて、午後9時42分頃から12月31日で活動休止する嵐が登場し、「カイト」を歌唱。メンバー一人ひとりが視聴者に向けてメッセージも発信した。その後、「君のうた」「Happiness」と計3曲歌うパフォーマンスを披露した。嵐の出演時間は総合司会の内村光良とのあいさつを含めると約11分間に及んだ。視聴者を十分に引き寄せた。嵐に続いては、絶大な人気を得るアニメ「鬼滅の刃」のテーマ曲を歌うLiSAが登場。紅白のために編集されたスペシャル映像も視聴者を紅白に“全集中”させたはず。
この流れは、NHKが考えた、視聴者を紅白に引き付ける効果抜群の“黄金リレー”だったのではないだろうか。この仕掛けが大台復活に少なからず貢献した気がする。
例年、紅白は、通常の番組とは比較にならないほど、大勢の、かつ、さまざまな部署のNHK職員が協力し、一丸となって番組を制作する。今回は、職員にとって、新型コロナウイルス感染防止に向けたさまざまな準備、対応を余儀なくされた初体験の紅白だった。
そんな中、職員たちも知恵と体力を振り絞った。NHKはこの日、「史上初めて無観客で行いましたが、NHKホールだけでなく複数のスタジオからお送りする異例のスタイルになりました。無観客だからこそ実現したNHKホール改造ともいえるステージは、全方位からカメラが映し出す見たこともない映像を生み出しました。また、別スタジオをオーケストラスタジオとして、性格の全く異なったステージを作ることもできました」。さらに、「いくつもの制限の中で、新しいスタイルを模索し、その片りんをつかんだのかもしれません。無事放送できたことが奇跡のようにも感じます」とコメントした。