「RIZIN.26」大会総括 シバターは“革新”「天心VS武尊」夢の対決にも熱視線

いきなり伝えられた情報解禁時間

 そして極め付けは、天心戦をリングサイドで見届けた武尊の存在である。

 聞くところによると、テレビ解説を務めた著名人のゲストには、まったくこの話を知らせず、知っていたのはテレビ局関係者だけだったという。

 それだけ秘密裏に実施した背景には、どうしても天心VS武尊を実現させたい関係者の強い思いがうかがえる。

 また、武尊は大会終了後に会見を行い、「格闘技界がもっと大きくなっていく試合にしないといけない」とコメント。つまり武尊はK-1のみならず、業界が一丸となって突き進んでいくための覚悟を持って、RIZINの会場に来場したことになる。

 さらに武尊はそのためのリングが(武尊が所属する)K-1、(天心が主戦場とする)RISE、RIZIN以外のリングであっても構わないといったコメントも残していたが、これにはRIZINの榊原信行CEOも同様の見解を示しながら、時期は「五輪が終わった頃」という見解を示していた。

 一方、天心は試合に勝利した後にリング上からマイクを持って、「今日会場に武尊選手、来てくれてありがとうございます。まだ何も決まってないんですけど、一緒に格闘技を盛り上げましょう」と話し、対戦に異論がないことを表明し、やるならやるといった姿勢を崩さない。

 ちなみに武尊がリングサイドに陣取ったとほぼ同時刻(21時過ぎ)、プレス席にいた取材陣には「武尊選手のは全試合終了後(22時半を予定)に囲み取材を行いますが、フジテレビの中継が(23時半に)終わってからを情報解禁とさせてください」といった見解がアナウンスされていく。

 ここには、それまではあくまで試合の中継に目を向けさせたい、というRIZIN側の意図が感じられた。

 ともあれ、今回のRIZINは、現在やれることは全て行い、力を出し切った感はあるのではないか。

 もちろんそれは、コアなファン以外をいかに取り込んでいくか、という課題に関しては、まだまだまったく足りていないのを認識した上での話。

 なぜなら日本の格闘技は、視聴率においても20年前は民放1位を獲得し、03年に行われた、曙VSボブ・サップ戦では、NHKの紅白歌合戦を瞬間最高視聴率で超えたこともある。それだけ、一般世間に届くだけの「他に比類なきジャンル」だった。

 では、そういったコアなファンの先にいる世間とどうすれば勝負していくことができるのか。

 実際、今大会の総評を述べたRIZNの榊原信行CEOは以下のように述べている。

「今回シバターというYouTuberが(参戦したが)、世界的な格闘技のトレンドとして、格闘技に心得がある炎上系YouTubeのローガン・ポールにしろ、(弟の)ジェイク・ポールにしても、2千万人のフォロワーを引っ提げて格闘技界に名乗りを上げて撹乱していますけど、ある種イノベーションだと思います」

 確かにローガン・ポールは2021年2月20日(現地時間)には、プロボクシング4階級制覇のフロイド・メイウェザーと「スーパーエキシビション」で対戦(ボクシングの試合?)することが発表されている(場所、試合形式など詳細は不明)。

 これを受けてなのか、榊原CEOはRIZINでもこれを参考にしたい旨を表明したのである。

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