堀口恭司が「前人未到」と「前代未聞」を続けられるワケ 朝倉海戦を徹底解説

「一番乗り」の思想

「人間じゃねえなってところを見せられる」

 堀口がそう口にしたのは、大みそか前々日(29日)にあった、全選手インタビュー取材だった。

 いったい、堀口は何を見せようとしているのか。

 果たして堀口が試合で見せたものの正体は、必殺のカーフキックだった。

 それまでの堀口は、中間距離から間合いを詰めてストレートを繰り出す、「伝統派空手」をバックボーンにした、堀口独特の闘い方を主軸にしてきた。

「あれは誰もマネができない」

 堀口の師匠である山本KID徳郁がそう言っていたことを時折思い出すことが今でもあるが、堀口は朝倉海との再戦においては、その戦法を取らなかった。

 言うなれば「あしたのジョー」の主人公である矢吹丈が、必殺のクロスカウンターを使うべく、両手をぶらりと下げて相手のパンチを誘う奇抜な戦法ではなく、あくまで正攻法で挑んだような感覚と言えばいいのだろうか。

 いずれにせよ堀口は、過去の自分とはまた違った一面を見せつつ、カーフキックという新しい必殺技を身につけて朝倉海と対峙する。

 実際、カーフキックの効果は絶大。朝倉海のダメージは観客席からでも把握できるほどだった。

 結果的に堀口はこれを基軸に堀口は試合の主導権を握り、1回2分48秒、至近距離からの右フック2発からパウンドで追い込みTKO勝利。リベンジを果たしてみせた。

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