【気になる人】朝ドラ「おちょやん」で注目の歌舞伎役者・延四郎演じた片岡松十郎が語った自身の素顔
幼い頃から「変わりもん」だったというビックリの素顔
僕はサラリーマンの父、共働きの母、1歳上の姉の4人家族に生まれ、近畿大学4年のとき、松竹が上方歌舞伎の俳優を育成するために開いた「上方歌舞伎塾」1期生になり歌舞伎の世界に入りました。母は若い頃、日本舞踊をやっていたそうですが、歌舞伎とは縁のない家です。
僕は小さい頃から変わりもんやったと思います。たとえば、幼稚園の頃にせっけん箱で工作しましょう、と言われ、作ったのが霊きゅう車。せっけん箱の中にマッチ箱を棺おけに見立てて入れて。それがなぜかカッコイイと思ったんですよね。小学校5年のときには、“21世紀の自分への手紙”を書いたんですけど、21世紀になってその手紙を読んだら「僕はもうこの世にいないだろう」と書いてたんですよ。自分で読んで引きました。
大好きだった寿司職人の祖父が亡くなったことや、その頃から思春期に入った、ということもあると思いますけど、姉に比べて僕は勉強嫌いやし、スポーツも苦手やし、と勝手に卑屈になって、両親によく「なんで生んだんや」と言っていました。ちょっとポッチャリもしてきて、まったくモテませんでしたね。小中学校時代、バレンタインデーにチョコレートをひとつももらったことがないですから(笑)。モテるどころか存在感がなくて、今、同級生に僕のことを聞いても「そんな子、いた?」って言われると思いますよ。
高校でアメリカンフットボール部に入って少し自信がついて、ようやく女の子と話せるようになりましたけど、大学ではアメフト部には入っていません。近畿大学のアメフト部は体育会の1部ですから、僕なんてとんでもない。趣味で週末に、社会人の方たちとアメフトを楽しんでいただけです。大学の授業を受けて、台湾料理屋や佐川急便でアルバイトをしていた、普通の大学生でした。
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阪神淡路大震災で被災し人生観が変わった