異例尽くしの今年の「年越しプロレス」 それでも熱闘間違いなし
大みそか(12月31日)に東京・後楽園ホールで開催される「年越しプロレス」。毎年恒例のイベントとして、ファンの支持を集めている。ただ、新型コロナウイルス禍の今年は「年を越さない年越しプロレス」となった。
大日本プロレスとDDTの選手がシャッフルで8チームを結成 大みそかに対決へ
大みそか(12月31日)に東京・後楽園ホールで開催される「年越しプロレス」。毎年恒例のイベントとして、ファンの支持を集めている。ただ、新型コロナウイルス禍の今年は「年を越さない年越しプロレス」となった。
大日本プロレスとDDT、両団体の選手がシャッフルされ8チームを結成し、タッグトーナメントのゴングが鳴る。先日の公開抽選会で、参加したファンが選手の名前の入ったボールを引いて、チームが決まった。
まず決まったのは、関本大介と遠藤哲哉という強豪2人のチーム。「ダイスケ・イン・ザ・スカイ」。会場からどよめきに似たため息が漏れる。「除夜の鐘と同じ108つの連携技がある」と豪語する「ガチムチ」関本と「バキバキ」遠藤の、筋肉チームは優勝候補筆頭と言えそうだ。
次々とコンビが誕生する中で、HARASHIMAと岡林裕二の「スマイル・ピッサリ」が決定。すると、会場中にハッピーな雰囲気が充満した。大喜びで満面の笑みを浮かべる明るい2人。心底、うれしそうだ。飲み会でも何度も顔を合わせており、仲も良く息もピッサリ……いやピッタリ。HARASHIMAは「岡ちゃん(岡林)と組みたいなと思っていたので良かった! うれしい!」と、いつにもまして、さわやかな笑顔。岡林も「これは行ける! ピッサリ優勝!」と力強い。
前年、遠藤と組んで優勝した野村卓矢は、今年は竹下幸之助とのチーム「ノムタケ」。「生来の人見知りが出て、まだ一度も目を合わせてないけど、当日までにコミュニケーションを取りたい」と、はにかむ野村。リング上では非情な攻めに徹する豹変(ひょうへん)ぶりには驚かされる。よく言われる「ハンドルを握ると人が変わる」ではなく、野村は「リングに上がると人が変わる」なのだ。竹下も「よし!」と自信に満ちた表情。勢いのあるこの若いチームも優勝候補だ。
野村は前年の優勝戦では、関本大介をドラゴンスープレックスで仕留めている。それが自信になり、今年の活躍につながった。年越しプロレスは、各選手、1年の集大成であると同時に、来年の飛躍を占う大事な試合だ。
他にも「みんなLINEでつながっていないだろうけど、僕らは以前からLINEしている。仲の良さで勝つ」と、自信満々の神谷英慶が、クリス・ブルックスとチーム「LINEともだち」で乗り込む。すでにLINEでメッセージを交換し、作戦を練り上げている。
ヤケドしそうに熱い男・青木優也は、大鵬三世・納谷幸男と「HOTリアルJAPAN」を結成。熱いチームで、寒さを吹き飛ばしてほしい。
「170cm(仮)」という何ともユニークなチーム名は、大日本の成長株・兵頭彰とクセ者・大石真翔。2人がそろって身長170センチ。当日までに(仮)に代わる正式チーム名は決まるのだろうか。
中之上靖文と上野勇希は、2人の名前を合わせて「中之上野」。地下鉄の駅名のようだが、大暴れしてほしいところ。
男色ディーノはドリュー・パーカーの「ソドミー&スカーズ」。ドリューがディーノに拒否反応を見せており、チームとして機能するのか、どんな連携を見せるのか、全く予想できない。
大みそか決戦では、タッグトーナメントの他、伊東竜二VSデスマッチの新星・勝俣駿馬の蛍光灯デスマッチなどもラインアップ。どの試合からも目が離せない。
「昔は紅白だったけど、最近では毎年これを見るのが楽しみ。今年はやらないかもと心配でしたが、開催されると聞き、本当に良かった」「お祭りプロレス的なイベント要素もありながら、素晴らしい試合もある。普段は見られないチームが組むのも魅力的。来年の活躍につながる選手もいるし」「とにかく年越しプロレス最高!」と、期待をふくらませるファンも多い。
サムライTVでも生中継される、年を越さない年越しプロレス。果たしてどのチームが優勝するのか、そして今後も続く名タッグが誕生するのか。
興行ができない時期もあり、無観客試合や配信マッチなど、今年はいつもと違うマット界の風景だったが「一陽来復」。悪いことが続いた後に、幸運に向かうというこの言葉のように、冬が終わり、春が来る。
来年の福を呼び込むような、明るく楽しく、そして元気が出るような激しい試合を期待している。コロナでどんよりした世の中を明るく照らしてほしい。