なぜ、こんな映画祭ができる? 真木よう子、リリー・フランキーらが大分・別府に集結
映画好きなら、愛さずにはいられないブルーバード劇場
しかし、映画祭は順風満帆だったわけではない。昨年の第2回は悪天候の上、予定していた真木が出発直前の体調不良から出演キャンセル。今回も、1000枚ある券のうち80枚しか売れなかった。森田氏はネットで悲鳴にも近い情報発信を行い、SNS上では「ブルーバード映画祭の窮地を救え」とばかりにリツイートやシェアが相次いだ。まさかの売れ行き不調は、まさかの大盛況に変わった。
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ラインナップを見れば、映画ファンなら観たくなる豪華さだ。登壇者はNHK大河ドラマ「いだてん」の阿部、人気実力ともに十分の真木&リリーら。「大分怪獣クラブ」が主体となった「Beppu特撮フェスティバル」というセレクションもあり、「ウルトラマン」「仮面ライダー」といった特撮作品で活躍する高野八誠(41)、須賀貴匡(42)、吉岡毅志(40)、青柳尊哉(34)らが参加。「ウルトラマン」シリーズで知られる田口清隆監督(39)による人気イベント「全国自主怪獣映画祭」などもあった。普段の70~80席規模の2階映画館だけではなく、貸しホールの3階を使っており、体一つでは全部を観きれない。
同じ県内で開催の「湯布院映画祭」のベテランスタッフも「こんなゲストはなかなか組めるものではない」との驚きの声を上げていた。フォルムは国内の一流映画祭顔負けだが、課題もある。森田氏がゲストのアテンド、現場やマスコミ対応、司会とありとあらゆることをやっていることから、手が回りきっていないのだ。今回は「映画全盛期のような活況を」ということで、完全入れ替え制、先着順という形を取ったが、観客からは「長い間並んだのに、入れないのはおかしい」「仕切りが悪い」といった不満の声も出ていた。
金を取る以上、しっかりやらなければいけないのは当たり前だが、ボランティアスタッフは限られた中、精いっぱいやっていたと思う。俳優陣も、この映画祭の心意気に共鳴し、シェアハウスのような宿で雑魚寝だったと聞く。そんな手作り映画祭の中心にいるのは、88歳の照さんである。集まってくる皆は、照さんの笑顔を見たいのだ。その照さんは「行列を観ると、昔を思い出しますね。『夢をもう一度』と思ったり、そんなことがあるか、ないのかと思いながら、毎日暮らしていましたから」と嬉しそうに語ってくれた。
最後に私事を少し。今夏、「湯布院映画祭」の帰りにふと立ち寄ったのがブルーバード劇場との出会いだった。森田氏同様に深い感銘を受け、記事にまとめさせていただいた。そんなこともあり、照さんを「2019年度日本映画ペンクラブ功労賞」に推薦させていただいたが、なんと満場一致の受賞決定だった。「こういう映画館はブルーバード劇場だけではないけど、やっぱり応援したいよね」と、ある会員は言った。湯けむりの立つ街にあるブルーバード劇場は、映画好きなら、愛さずにはいられないホットな映画館。ブルーバード映画祭も、さらに羽ばたいて欲しい。