井筒和幸監督、8年ぶり新作「無頼」語る “井筒版「ゴッドファーザー」”の真意

およそ8年ぶりの新作となる映画「無頼」を手がけた井筒和幸監督が、配信番組「活弁シネマ倶楽部」に登場。本作を手がけた真意や、自身の思う“昭和史”など、MCを務める映画評論家の森直人と大いに語り合った。

井筒和幸監督(左)と映画評論家の森直人
井筒和幸監督(左)と映画評論家の森直人

配信番組「活弁シネマ倶楽部」に登場

 およそ8年ぶりの新作となる映画「無頼」を手がけた井筒和幸監督が、配信番組「活弁シネマ倶楽部」に登場。本作を手がけた真意や、自身の思う“昭和史”など、MCを務める映画評論家の森直人と大いに語り合った。

 本作のテーマを「ザッツ昭和史」と語る井筒監督。「昭和というものはいったい何だったのか? ということを、ヤクザ映画のかたちで語った」と解説した。

“井筒版「ゴッドファーザー」”ともいえる作品だが、森は「劇中で『ゴッドファーザー』への言及もありますが、井筒監督がここまで直接的に映画へのオマージュをしているのも珍しい」と指摘、「本作はいわば『アイリッシュマン』ですよね。マーティン・スコセッシと井筒和幸が、同時期に同じような発想で戦後史映画を立ち上げた」と続けた。

「『アイリッシュマン』は1950年代から80年代までの戦後アメリカの裏面史で、ある象徴的な人物を置いて、3時間半の尺の中にその裏面史を入れ込んでいる。ここの構図が似ている」と森はさらに続ける。そして、スコセッシ監督作における「ミーン・ストリート」が、井筒監督の場合は「ガキ帝国」だとの発言も。

 森は、自身が井筒監督のファンである理由を、「日本では数少ない、“本物のストリートの作家”」だと述べ、「そんなストリート派が、戦後論の叙事詩を撮ったらどうなるかという答えが、この『無頼』であり、スコセッシ監督の『アイリッシュマン』」だと論じている。

 映画の主人公は、EXILEのパフォーマー・松本利夫演じるマサジだ。ここで再び話題は「ゴッドファーザー」へ。同作はマフィアの世界を描いた話でもあるが、3兄弟の物語でもある。「無頼」のマサジは三男坊であり、「ゴッドファーザー」でアル・パチーノが演じるマイケルも三男坊。これに井筒監督は「実はね、パクってきてる」と笑いながら正直に明かした。

 そして森は、「本作を観て、井筒監督のバランス感覚に痺れた」と述べた。これに監督は「バランス感覚なんてものは、ハナからない」と返すが、「商業娯楽映画の中で、ハードコアな作家映画を作ってきた井筒監督は“バランスの人”だ」と森が応酬。ここまで言われるとさすがの監督も「そうなのかなあ……」とこぼした。

 この根拠について森は、「今回の『無頼』で言えば、視点がずっとニュートラル。どこにもよらず、真ん中を駆け抜いていっている」とコメント。

 井筒監督自身も「突き放して描こうと思った。(ヤクザ者である彼らを)冷たく見つめることが必要だと思った」と、この作品や、劇中に登場する人物たちに対する姿勢を明言した。

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(ENCOUNT編集部)

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