プロレスの原点は道場 相撲や大喜利大会…個性派ぞろいの新発見

道場とは本来、仏道修行の場を指した言葉だそうだ。明治時代以降、剣道や柔道の稽古場を「武道場」と呼ぶようになり、「武」を略して「道場」と呼ぶようになったという。

大喜利に興じる大日本戦士たち【撮影:柴田惣一】
大喜利に興じる大日本戦士たち【撮影:柴田惣一】

大日本プロレスの“道場”はバラエティーに富んでいる

 道場とは本来、仏道修行の場を指した言葉だそうだ。明治時代以降、剣道や柔道の稽古場を「武道場」と呼ぶようになり、「武」を略して「道場」と呼ぶようになったという。

 道場は基本だ。誰でも最初から強かったわけではない。道場で練習し、強くなっていく。選手にとっては成長していく鍛錬の場所。ファンにとっては憧れの場所だ。

 道場イベントを開催している団体は多いが、大日本プロレスのそれは特に面白いとの評判だ。

 前半では各選手が趣向を凝らした企画イベントをプロデュース。例えば、野村卓矢プロデュースデーは相撲大会、青木優也プロデュースデーは大喜利大会など、後半の試合前に人気を呼んでいる。

 選手の個性が際立ったり、意外な一面が見られたり、ファンも大喜び。選手の素顔に触れ、より感情移入し、応援にもさらに力が入る。

 選手にとっても、良い経験になるハズ。企画から始めて準備して、あいさつしたり司会を務めたり、時にはレフェリーをしたり。時間をチェックしながら、お客さんの反応をうかがいながら、進行する。ロールプレイングではないが「道場イベントをプロデュースした。経験値が10上がった」という感じではないだろうか。

 新型コロナウイルス禍のソーシャルディスタンスで、座席数を減らしているが、楽しみに来場する常連ファンも多い。自粛生活が続く中「これがなかったら、うちら、どうなっていたか分からないよね」と、気分転換になったらしい。

「後楽園や新木場の試合もいいけど、道場イベントは格別だよね」と、写真を撮りまくり、選手のコメントに涙を流して笑い転げる。

 特設売店では、普段からサービス精神旺盛な大日本勢が、なお一層、気さくに接している。

 試合のゴングも鳴る。沼澤邪鬼VS菊田一美VS加藤拓歩という沼澤の指摘によると「ハゲの3WAY」マッチが実現したかと思えば、岡林裕二、河上隆一組VS橋本大地、兵頭彰組という通常興行のセミ、メインクラスの対戦もある。

 バラエティーに富んだラインアップは個性派ぞろいの大日本ならでは。選手層の厚さに驚かされる。

 ちなみに、まだ若い加藤だが、実はおでこがかなり広がっており、危険水域だ。思わず「かぶればいいんだよ!」とアドバイスしたところ「はい!」と明るく元気な答え。そうです。かぶればいいんです。かぶり時を逃さないようにね。

 また、普段は見られない道場内部に入れるのも、ファンにとっては大変興味深い。横浜市都築区にある道場。最寄りの鴨居駅から鶴見川沿いに向かうのだが、まずは土手をロードワークしている選手の姿が浮かんでくる。

 道場内にはリングとともに、トレーニング器具が所狭しと設置してある。ダンベル、バーベルの種類の多いこと。ジム顔負けだ。おお! ロープが天井からぶら下がっている! ロープ登りだ。大きさの違うバランスボールがいくつかある。これで体幹を鍛えているのか。伸びてよれたタオルが何本も干してある。タオルトレーニングもしているのだろう。

「ここは大日本の『虎の穴』。思わずキョロキョロしてしまう。ここで練習しているのか」と感慨深げなファンもいた。

 血と汗と涙がしみ込んだ道場。いかに練習しているかがよく分かり、それを感じることだけでも一見の価値がある。

 野村は「大日本の道場は古いけど、でもここが大好きです。先輩たちもここで強くなった。自分もここでもっと練習してもっと強くなるんだ! と思っています」と力説。岡林は「たくさんの方々に来てほしいですね。自分たちの道場を見てほしい。お待ちしています。ピッサリ!」と明るく笑った。

 道場はレスラーの自宅のようなもの。そこで行う道場イベントは究極のファンサービスなのかもしれない。

 現デスマッチチャンピオンの藤田ミノルが言った。「誰かの生き甲斐になりたくて、誰かのなくてはならないものになりたくて」と。誰かの生き甲斐になるのは難しい。だが、なれたらそれは本当に素敵なこと。

 次回の道場イベントは未定だが、突如、電撃決定することも多い。大日本のHPをチェックして、みなさんも一度、参加されてみてはいかがだろうか。大日本が、そしてプロレスがもっと好きになること、請け合いだ。

次のページへ (2/2) 加藤拓歩のおでこ
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