「ストレイテナー」ホリエ独白、秦基博との出会いで目覚めた「どんな場所でもパワーのある音楽」
結成22年目を迎えたロックバンド「ストレイテナー(STRAIGHTENR)」が通算11枚目のアルバム「Applause」をリリースした。デビュー以来、独創的な楽曲の世界観や圧倒的なライブパフォーマンスで多くのロック好きの心をつかんできたが、最近は、これまで以上に“自分たちらしさを広く大衆に向けて放つ”そんな作品に出会える機会が増えてきた。新作もまさにバンドのポピュラーな面とコアな面が見事に融合している。そんな彼らの目指す先について、バンドを代表してボーカル・ギターのホリエアツシに聞いた。
ニューアルバムで示した原点回帰と大衆性
結成22年目を迎えたロックバンド「ストレイテナー(STRAIGHTENR)」が通算11枚目のアルバム「Applause」をリリースした。デビュー以来、独創的な楽曲の世界観や圧倒的なライブパフォーマンスで多くのロック好きの心をつかんできたが、最近は、これまで以上に“自分たちらしさを広く大衆に向けて放つ”そんな作品に出会える機会が増えてきた。新作もまさにバンドのポピュラーな面とコアな面が見事に融合している。そんな彼らの目指す先について、バンドを代表してボーカル・ギターのホリエアツシに聞いた。(取材・文=福嶋剛)
僕は大衆的でないものこそ格好良いと思ってミュージシャンになった人間なので、“大衆性”ってすごくネガティブな響きがあるのですが、一方でロックミュージックは、大衆から求められる、“親しまれるもの”であって、バンドとしても目指すべきところだと思っています。マニアックだから格好良いのではなく、そういったマニアックな音楽を知っているからこそ、その格好良さをいかに大衆に気付いてもらうか。そこに僕らは、一つのモチベーションがあるわけです。
あるとき、好きなアニメのサントラを聞いていたらとても良い曲に出会って。作者を調べたら、実は前から知っていたバンドが作っていたという。そんなふうに音楽をとことん掘り下げて探さなくても、ふとしたきっかけで見つかる。これも大衆性だし、今の時代なんだと思います。
前作「Future Soundtrack」(2018年)は、歌の持つ感情とか色気、声によって伝わる切なさなど、“歌モノ”という位置付けのとてもパーソナルなアルバムでした。これまではJ-POP流の曲の構成にあまり惹かれなかったのですが、周りのプレッシャーも大衆への安易な迎合もなく、ここ何作品かは、J-POPの良さというものとあらためて向き合いながら曲を作っていて。それはまた楽しい時間でした。
そして今作「Applause」は、前作とは違った“原点回帰”というか、肉体的でバンド4人の人間性が出ていて“バンドとしてどうあるべきか”を示すことができたアルバムとなりました。
アルバム制作で1番大きかったのは、新型コロナの感染拡大でライブができなくなり、その分、曲作りにかける時間が大いに取れたことです。これまで年中ライブやフェスをやりながら活動してきて、割と瞬発力で作品を制作していたので、今回は出来上がった曲を各自持ち帰ってゆっくりと見直すことで、これまでとは違うアプローチが取れたり、メンバー間の風通しの良さや、より客観的にものごとを見つめることができたので、その面ではとても良い影響が出た作品になったと思います。
最初に出来上がったのは「Parody(パロディー)」という曲。今年の頭にみんなでアレンジして、それがすごく楽しくて、手ごたえを感じた楽曲でした。その後も同じ方向性で何曲か作って見直したとき、これらの曲を1番楽しめる場所はライブ会場だったり、生演奏だと気付いたんです。そこで他にも今の時代に合った形で、どんな場所で聞いてもパワーのある曲を用意したいと考え、出来上がった曲が「さよならだけがおしえてくれた」です。