闘病中の初代タイガーマスクが来たるデビュー40周年に向けリング復帰を表明
久々に、ファンの前に姿を見せた初代タイガーマスクこと佐山聡。ストロングスタイルプロレス 11・9神田明神ホール大会に、車いすで登場した。
日本マット界に革命を起こした佐山のミラクルカムバックに期待
久々に、ファンの前に姿を見せた初代タイガーマスクこと佐山聡。ストロングスタイルプロレス 11・9神田明神ホール大会に、車いすで登場した。
謎の病気と闘病中とあって、心配された佐山だが、「トレーニング中にけがをしてしまった。心配ない」と表明。周囲の不安を否定した。初代タイガーマスクは1981年4月23日、新日本プロレスの蔵前国技館大会で衝撃のデビュー。アニメの世界そのままの華麗な空中殺法で、一大ブームを巻き起こした。
当時を知る高田延彦は「ステップひとつとってみても、他のレスラーとは、全く違っていた」と、今でも興奮気味に振り返る。付き人だった山崎一夫は「この人は本当に人間だろうか、と思っていた。こうしたら、ファンが喜んでくれるじゃないか、と思いついたことを、佐山さんはリング上でそのまま、できちゃった。すごかった」と、39年前を思い出して熱くなる。
船木誠勝は映画「真説 タイガーマスク」の試合の場面で、タイガーマスク役を演じたが、改めて佐山が常人離れしていたことを思い知らされた。佐山から直接指導を受けたところ「動きをまねすると、すぐに体のどこかが、おかしくなってしまった。とんでもないことを、佐山さんは事も無げにやっていたんだ」と、舌を巻いていた。
日本マット史を飾ってきたレスラーたちが、口をそろえる佐山の身体能力の高さは、数字でも証明されている。あるテレビ番組の記録測定で、100メートル走で12秒7をマーク。体重93キロで12秒台は驚異的だ。背筋力は293キロ。ちなみに当時の米国のアマレス五輪代表選手の平均が260キロだったそうだ。俊敏性や反射能力の指標となる全身反応時間テストは0.3秒。陸上・短距離走の日本代表クラスの平均が0.32秒なので、佐山の方が優れていた。
タイガーマスクとしては2年あまりのファイトだったが、その後、ザ・タイガー、スーパー・タイガーなどと名前を変え、素顔に戻って戦い続け、ファンを魅了した。
最初のマスクは事務所の女性たちの手作りだった。日本には、まだ「マスク屋」が存在していなかった。現在は何人ものマスク職人たちが、技術を競い合っている。佐山が新たな職業を生み出したともいえる。
プロレス会場にちびっ子ファンを呼び込むなど、日本マット界に革命を起こした佐山。タイガーマスクに憧れて、プロレスラーの道を選んだ若者も世界中にいる。来年はデビュー40周年のメモリアルイヤーとなる。「スーパー・タイガーの年にしたい」とリング復帰も見据える佐山のミラクルカムバックを楽しみにしたい。